reGretGirl×Laughing Hick 親和性の高い両者が、素晴らしき化学反応を起こした夜『Grasshopper vol.25』ライブレポート
8月2日、『Grasshopper vol.25』が東京・Spotify O-nestにて開催された。この『Grasshopper』はチケットぴあの若手スタッフが中心となって次世代を担うバンドをピックアップするイベント。新しい出会いを提示すべく普段は3~4組のアーティストを招いたイベント形式になっているが、今回は節目となる25回目ということもあり、様々な角度から失恋や思いを伝えることを歌い、聴く者に寄り添いながらロックのダイナミズムを体現するreGretGirl(リグレットガール)、リアルな恋模様を描く世界観が多くの共感を呼んでいるLaughing Hick(ラフィングヒック)によるツーマンとして行われた。これまで大きな接点はなかった両バンドではあるが、ありふれた恋物語ではなく、一人ひとりが自分自身のストーリーに重ねて抱きしめられる曲を歌うこともあり、とても親和性が高い。当日はどこを切り取ってもクライマックスのような盛り上がりで、素晴らしき化学反応が起こった夜となった。 【全ての写真】reGretGirl×Laughing Hickが出演した『Grasshopper vol.25』(全12枚) まず登場したLaughing Hickは、ライブハウスという現場から大きな波を起こそうとしているバンドであり、まさに今、それが現実のものになろうとしてるタイミング。ホリウチコウタ(vo/g)、あかり(b)、たいち(ds)の3人がステージに姿を現すや否や、会場中から大きな歓声が上がり、一気に高まる熱気。そんな期待感に応えるべく、クズさを赤裸々に綴ったいかにも彼ららしい「愛してるって」を強烈に響かせていき、3ピースらしいすっきりさがありながらも薄さは感じさせないサウンドで、いきなりフロアをグッと持っていく。 ホリウチが「行こうぜ!」と声を上げてから放ったダンサブルなポップチューン「ホンネ」では、あかりも飛び跳ね、ステージ上の躍動感が凄まじい。落とすところはしっかり落とす曲展開も絶妙で、響き方もドラマティックだ。 全員で最高の空間を作っていこうと問いかけ、「あなたの世界が今よりも少しだけ色づくように」とホリウチが口にして始めたのが「モノクロセカイ」。寄り添いながら、支えになる曲だからこそのバランスも良く、淡々としながらも力強く音を紡いでいく。その余韻を残しつつ、続けることによって観客の集中度がより高まったスローナンバー「さよなら恋人、おかえり恋心」も鮮やかに響いていた。 初めてのライブハウス、初めてのイベント、初めてのreGretGirlとのツーマンということで改めて喜びを爆発させつつ、たいちがカラオケに行ったら必ずreGretGirlを歌うという秘話を披露した後、”踊れるナンバーを”と投下したのが「休憩と宿泊」。怪しいムードをまといながらも、バッチバチに切り替わる曲展開で引っ張り続けるハイブリッドな1曲だ。 たいちが叩き出すビートに誘われ、観客も高く手を突き上げて応えていくが、まだまだ足りないとばかりに放ったのが「女だから」。欲望と理性と愛情が入り乱れ、友人にさえ話せないような恋愛模様を描写した曲であり、だからこそ感じられる救いがある。あかりとたいちが生むグルーヴ感もあり、観客のジャンプやクラップもより一層激しくなっていき、曲終わりに「よくできました!」とホリウチが叫ぶほどの気持ちいい熱が会場全体を包みこんでいた。 そして、終盤に入り壮大なスケール感で響かせたのが「カフェオレ」。祈りを捧げるようなホリウチの歌声、早る鼓動のようなドラムのフレーズ、ストリングスを加えたことでの広がり、大好きな人を大好きなままで手放してしまった沁みるバラードではあるのだが、溢れ出す気持ちがどこまでも熱い。 そこから揺れ動く切なさが、反映されたようにサウンドアプローチが切り替わる。バンドのポテンシャルを感じさせる「カシスオレンジ」を踏み込んで鳴らし、ラストは「Bye-Hi」を観客のクラップにも後押しされながらパワフルにプレイ。熱気と歓声で会場の隅々まで満たされる美しい光景だった。