ノンバイナリー公表した社員の戦い「LGBTQ+当事者の声で会社を変えたい」
「当たり前のことなんですが、自分らしく働けるって大事なこと。LGBTQ+の当事者が自分らしく働ける企業は、きっと当事者だけでなくみんなが働きやすい企業だと思うんです」 【全画像をみる】ノンバイナリー公表した社員の戦い「LGBTQ+当事者の声で会社を変えたい」 LGBTQ+の若い当事者が、勤務する会社内で自身の性的指向や性自認を積極的にカミングアウトし始めている。 人事システム「COMPANY(カンパニー)」などHRテックを手掛けるWorks Human Intelligence(ワークスヒューマンインテリジェンス、以下WHI)では、当事者らが性的マイノリティへの理解を促進するためのコミュニティーを発足させ、コミュニティーの参加者は100人を超えている。 コミュニティーでは、会社役員にも活動参加や協力などの働きかけを続けており、当事者やアライ(LGBTQ+当事者の理解者・支援者)たちが声を上げ、会社を変えつつある。 Works Human Intelligence:ワークスアプリケーションズから2019年に分社化。一般社団法人work with PrideがLGBTQに関する企業等の取り組みを評価する「PRIDE指標」で2021年に最高ランク「ゴールド」を受賞した。社員数は単体で約1700人、グループ連結で約2000人。
同性パートナー向け福利厚生、社内で初めて申請
「転職を考えていたとき、うちの会社がLGBTQ+に関するアンケート調査の実施や、男女別だった服装ガイドラインの見直し、同性パートナーを持つ社員の福利厚生拡大に積極的に取り組んでいることを知り興味を持ち、活躍するチャンスがありそうな会社だと感じました」 新卒で日系のIT大手企業に入社し、2021年にWHIに中途で入社した九野さん(28歳、プライバシー保護のため名字のみ記載)は入社のきっかけについてそう話す。 九野さんは、自身の性自認について「ノンバイナリー(男性・女性という区分に当てはまらないこと)」だと、入社後にすぐ社内で公表した。 九野さんは女性のパートナーと、自治体が認定しているパートナーシップ制度の証明を受けており、社内で初めて同性パートナーらに認められる福利厚生制度を利用した。 パートナーシップ認定を受けたときには、社内報では結婚や出産を報告できるコーナーで、パートナーシップ証明を受けたことも報告した。 「社内報での報告は任意ですが、お祝いしてほしいというより、可視化するために社内報にも掲載してもらいました。面識のない方からもお祝いの言葉や感謝の言葉をもらい、思った以上の反響がありました」 社内では九野さんに続き、同性パートナー認定を受けた社員が、福利厚生を申請する事例が他にも続いたという。