【衆院選2024】「政治とカネ」不信は払しょくされず 情勢調査から読み解く今後の日本
石破総裁VS野田代表
石破内閣の支持率は、28~46%と調査によって幅がありますが、各選挙区の情勢を見ても、与党に対する新政権発足の「ご祝儀相場」の雰囲気はほぼありません。 実直で器用ではない石破総理の“発言のブレ”は、「党内野党だったときは、言いたい放題言えたが、実際に総理総裁になると、現実の政策や各国との外交関係、実際の党運営等との乖離が大きく、軌道修正せざるを得なくなった」ということで、これは一般的に、政権交代で野党が政権を取った時にも、同様のことが起こります。 国民の目から見ると、「なんだ、石破氏で変わると思ったが、結局古い自民党のままか」といった失望・裏切られた感があるのではないかと思います。また、党内に亀裂を生じさせていることは間違いないので、選挙後の党内運営も円滑にはいかないことが予想されます。 新たに立民の代表になった野田氏は、討論等でも安定感を出し、立民の中では保守寄りの主張で、穏健保守の一部や自民批判票の受け皿になっています。 ただもちろん、どんな論戦においても「批判される側(与党)より、する側(野党)の方が有利で良く見える」のは当然で、本質的に立民が「2009年の政権交代時の民主党の政権運営の失敗から、なにが変わったのか」という点と、そして個々の選挙区においては、有権者が「『この政党だったら誰でもよい』ではなく、『候補者の資質や経験で見る』」ということも重要だろうと思います。
非公認・比例重複認めない影響は
政治資金規正報告書に不記載があった議員で、今回の衆院選に出馬するのは45名(①離党し、参院からの鞍替えで無所属で出馬1名、②非公認(または比例単独認められず)、無所属で出馬11名、③公認だが、比例重複は認められない33名)です。 このうち、前回(2021年)の衆院選において、小選挙区で当選33名、小選挙区で落選して比例復活8名、小選挙区・比例復活とも無し1名、当時参院議員2名、新人1名、となっています。 非公認の場合(11名)、公認料が出ない、供託金(300万円)が自己負担、ビラやポスターの数が少ないといったデメリットがありますが、何より大きいのは、比例復活ができないことと、党の地方議員や地域支部、各職域団体などが支援に動いてくれない可能性があることです。 ただ今回は、公示直前の決定であったことや、自民党が刺客候補を立てないこと、当選したら追加公認が見込まれることなどから、党組織や団体が揃ってそっぽを向くということにはなっていないようですが、ベテランか中堅・若手かでも度合いは分かれると思います。「党ではなく人」で応援してくれる人がどれくらいいるかも重要です。 また、公認でも重複立候補無しの場合(33名)、小選挙区で得票トップにならないと、比例復活ができず落選、ということになり、今回の自民党への逆風も考えれば、厳しい状況にある候補者は多いと思います。 なお、「比例復活を認めないことで、自民党の議席が減る」というのは実は誤解で、「小選挙区で落選した候補者が、比例復活するはずだった分の議席」は、代わりに「その地域ブロックの比例単独の候補者が、当選していく」ので、党が取れる議席数は、その意味においては変わりません。 ただ、国民の側からすれば、地域(各選挙区)とは関係の無い、急場しのぎの“数合わせの比例単独候補”(念のため名簿に載せられる「党の地方支部の職員」等)が議員になる、といった問題も生じ得ます。 また今回の方針は、結果的に、旧安倍派の議員を減らし、石破総裁の下で当選する新人議員を増やすことにつながる可能性もあります。政治というのは、与野党間の争いであるとともに、同じ党内のどろどろした権力闘争のおそろしさも、改めて感じるところです。