安易に転職を考える前に「今いる職場」でやりがいを見つけるための簡単な“発想の転換法”
一方で、今の時代は、就職も転職も比較的簡単にできるようになり、様々な選択肢に満たされている状態であるともいえます。すると、数多くの情報や選択肢があるからこそ、判断に迷うことが増えていってしまうのです。 また、かつて失われた30年といわれた長期低迷期とは違い、あえて「自分のスイッチ」を入れずとも働いていける環境があることで、ある意味で流されながら生きていける面があるのも事実です。 そんな環境だからこそ、私は、やはり「好きなこと」に出会う機会を求めることが大切なのだと思います。好きなことの中でこそ、自分の価値は育ちます。
自分はその仕事でなにを成し遂げたいのか。どのようなキャリアパスを歩みたいのか。そんな待遇面を超えた部分を含めた、「自分のスイッチ」の在処を見つけることが必要なのです。 ■「好きなこと=行動できること」と考える もう1つ、「好きなこと=職種」と捉えないようにすることも大切なポイントです。結果的に一致することはあるでしょう。それこそ数字を扱うことが得意な人が経理の仕事をしたり、絵を描くのが好きな人がイラストレーターになったりすると、好きなことと職種が一致している状態になります。
ですが、はじめから「好きなこと=職種」で仕事を選ぼうとすると、選択肢が非常に狭まってしまう可能性があるのです。自分にとって未知のジャンルであっても、その仕事に向いている可能性もあるのに、はじめから職種という枠を当てはめてしまうと、自分の可能性を自ら閉ざしてしまいかねません。 また、好きだと思っていた職種であっても、その中に自分の苦手なことや、やりたくないことが含まれている場合があるのも見逃しがちです。いや、そのような場合が沢山あることのほうが、普通といえるかもしれません。
そこで、「好きなこと」にうまく出会うためには、ぜひ「好きなこと=行動できること」と考えてみてください。あるいは、「好きなこと=追求できること」といってもいいでしょう。 そのように視点を変えることで、仕事の幅は一気に広がるはずです。先の例でいうと、数字が得意な人が、別に数字を専門的に扱う職業を選ぶ必要はないということです。どんな仕事でも数字の知識は活かせるわけですから、むしろ全く新しいジャンルに挑戦し、数字のスキルをその仕事に掛け合わせていくほうが、活躍できる可能性が高まります。
「得意なこと」を、それがメインではない仕事と掛け合わせることで、他の人と差別化もできます。これは営業力であれ、コミュニケーション力であれ、文章力であれ、ロジカル思考であれ、どんな掛け合わせにも応用できる考え方です。このように幅広い観点から、自分のスイッチを入れることが重要です。
池本 博則 :株式会社ユニークピース代表取締役社長