味の素はなぜ「おいしさ」を消費者に伝えられるのか? クリエイティブを支える、科学的コミュニケーション思考
重要なのは「愛し、愛される」こと
DD:「よいコミュニケーション」とはなにか。おふたりが常に意識していることを教えてほしい。 向井:マーケティングデザインセンターが結成された際、メンバー全員が自分の思いを紙に記入することになり、私は「愛し、愛される」と書いた。消費者にファンになってもらうためには、まず自分たちが相手を好きになるべきだという思いからだ。 ファン作りはまず好きになることから、コミュニケーションも同じだ。相手のことが好きであればこそ、相手に受け入れてもらえる要素を見つけ出し、どうアプローチすればよいのか考えられる。 岡本:コンシューマーブランドは消費者に支えられてはじめて成立する。つまり、ブランディングというのは好きな人に好きになってもらう仕事だと言える。 そのためのコミュニケーションは、消費者のエモーションやシーン、さまざまなモーメントに応じて最適なメディアを活用し、心に入る設計をどうするが不可欠になる。デジタルではこうする、マスではこうするという手法論は重要ではない。 うま味調味料の「味の素」 一粒に価値はないが、そこから作られる料理や生まれる会話、癒される気持ちはかけがえのない価値だ。その価値を生み出すきっかけを作り、さらにエンハンスするコミュニケーションこそが我々が求めているもの。それをどうすれば届けることができるのか、必死に考え続けていきたい。 Written by 坂本凪沙、分島翔平 Photo by 渡部幸和
編集部