国民が大論争…ファンが真っ二つに分かれた伝説のドラマ(4)名優同士がバチバチ...衝突する2つの正義は?
自分のイチオシを決めて応援する「推し活」。もともとはアイドルファンの活動を指す言葉だったが、近年はさまざまな対象に用いられており、W主演の映画やドラマの場合には、ファンが真っ二つに分断される場合もある。そこで今回は、ファンを真っ二つに割ったドラマ5本を紹介。出演者同士のその後の交流も含めて紹介する。第4回。(文:編集部)
『白い巨塔』(2003)
演出:西谷弘、河野圭太、村上正典、岩田和行 原作:山崎豊子 脚本:井上由美子 キャスト:唐沢寿明、江口洋介、黒木瞳、矢田亜希子、水野真紀、片岡孝太郎、西田尚美、佐々木蔵之介、中原丈雄、高畑淳子、若村麻由美、沢村一樹、及川光博、品川徹、伊武雅刀、かたせ梨乃、野川由美子、池内淳子、上川隆也、伊藤英明、石坂浩二、西田敏行 【作品内容】 関西一の大学病院である浪速大学医学部付属病院。次期教授の座を狙う第一外科部長の財前五郎(唐沢寿明)は、みなぎる野心ゆえに患者に対する扱いもぞんざいで、教授の東貞蔵(石坂浩二)から疎まれていた。 一方、同期の第一内科部長の里見脩二(江口洋介)は、患者を第一に考える研究一筋の人物で、財前からライバル視されていた。 ある日、里見は女性患者のすい臓がんを発見。財前は、珍しい早期すい臓がんの手術に挑戦したがるが…。 【注目ポイント】 ドラマ『となりのナースエイド』(2024)の放送や、『劇場版ドクターX』(2024)の公開など、近年注目を集める医療ドラマ。しかし、どんなドラマも、重厚感では医学界の腐敗を描いた山崎豊子原作の『白い巨塔』に敵わないだろう。 これまで5度にわたって映像化されている本作。特に、「フジテレビ開局45周年記念ドラマ」を冠して制作された2003年の『白い巨塔』は、負の遺産と言われるアウシュビッツ強制収容所での撮影も敢行されるなど、単なる医療ドラマには収まらない重厚なヒューマンドラマになっている。 本作の軸となるのは、外科部長の財前五郎と、内科部長の里見脩二の対立だ。並外れた技術を持ちながらも人間的には決して肯定できない財前と、腕は平凡ながらも目の前の患者に真摯に向き合おうとする里見。作中では、「教授選」と「医療裁判」という2つの事象を通して、2人の異なる正義が浮き彫りにされていく。 なお、2003年で財前と里見を演じた唐沢と江口は、1992年の『愛という名のもとに』(1992、フジテレビ系)でもコンビを演じている。こちらも併せてご覧いただくと、理解が深まるかもしれない。
編集部