47歳でヨガインストラクターへの転身。「自分らしさ」を求め地元へUターンした女性の「光と影」
身体の不調からヨガと出会い、考え方が変わる
そんな寺本さんは、長い間体の不調に悩んできたそう。とくにエンジニア時代は、長時間の座り仕事で腰を痛めてヘルニア寸前になり、またひどい肩こりにも悩みました。改善策を調べるうちに、ついにヨガと出会いました。 「ヨガをやりはじめてから、心への影響が大きいことに気がついたんです。自分の中で抑圧していた思いが、ちゃんと表に出てくるようになった感覚がありました。自分の働き方について考え直すようになったのも、ヨガの影響が大きいと思います」 当時はまだ日本でヨガが今ほど流行っておらず、DVDを借りてきて自宅でヨガを行っていたという寺本さん。ヨガを始めたばかりのころは、「これを仕事にしたい」というよりは、「もっとヨガのことを知りたい!」という好奇心から、本を読むなどして独学で勉強を続けていました。 意識が変わったきっかけは、転職で時間に余裕が生まれ、スタジオ通いを始めたことでした。対面のレッスンでインストラクターの先生から細かいインストラクションを受けると、正しい位置でヨガのポーズができるように。 「そうすると、効果が全然違ってきたんです。『自分もこれをやってみたい!』と感じ、2017年からはインストラクターの資格を得るために通学を始めました。平日は会社に通い、週末はヨガの学校に行く生活を2年間送り、RYT200(ヨガインストラクターの国際資格)を取得しました」 いくら好きなこととはいえ、会社員として働きながら資格の勉強をするのは大変ではなかったのでしょうか? 寺本さんは、「正直、かなり大変でしたよ!」と当時を振り返ります。しかし、その表情は明るいものでした。 「レッスン中はエネルギーが充ちているんですが、終わった途端にドッと疲れが出てしまう日もありました。でも、勉強が楽しかったので苦ではなかったですね。なにより、インストラクターの先生たちがみなさん柔らかい雰囲気をしていたのが印象的でした。レッスンを受けた後は、気持ちよく身体を動かせるようになりましたし、自分自身が気持ちよく、かつ人をハッピーにできる働き方って理想的だなぁと」 ここまでの前編記事では、迷いながらも一歩ずつ着実に進んできた寺本さんのお話を伺いました。ところが、ここで世界をコロナが襲います。後編では寺本さんに起きた大きな異変と、その苦悩、そして意外すぎる打開策を伺います。
ライター 風音