「年収300万円」の社会人。父が「家族を食べさせて一人前」と言うけれど、正直1人暮らしもギリギリです。年収がいくらあれば家庭をもてるでしょうか?
世代によっては「家族を養って一人前」という価値観を持つ人も多いかもしれません。しかし、もし親にそのように言われても、今の年収では自分1人の生活を維持するのがやっとだという人も多いようです。 では、実際にどのくらいの年収があれば、家庭をもっていわゆる「家族を養う」ことができるのでしょうか? 本記事では、家庭をもつために必要な年収や、親世代との社会情勢の違いについて解説します。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
家庭を支えるための年収の目安は?
家庭をもつと、どのくらいのお金が必要になるのでしょうか。 総務省が発表した最新の家計調査(2024年10月分)によると、2人以上の世帯における1ヶ月の平均消費支出は30万5819円です。この数字をもとに計算すると、年間の消費支出はおよそ366万円になります。 給与の手取りを約8割程度だと仮定すると、約457万円が必要になる計算です。つまり、年収が457万円以上あれば、2人以上の世帯の平均支出額を賄えるといえるでしょう。 しかし、この消費支出額はあくまでも平均であり、世帯構成や住んでいる地域、生活スタイルによって大きく変わります。例えば、子どもが複数人いる世帯や、都市部に住んでいる世帯では、より多くの収入が必要になるでしょう。「年収457万円以上なら家庭をもてる」と一概にはいえません。
親世代と現代では何が違う?
「結婚したら家族を養うのが当たり前」という考えは、かつては多くの人の間で共通していたかもしれません。しかし、現代では社会の状況が大きく変わり、その考え方も徐々に変化しています。 昭和時代には、終身雇用や年功序列が一般的でした。企業に長く勤めることで給与が徐々に上がり、安定した収入を得ることができたため、父親が一家の大黒柱として働き、母親が専業主婦として家事や子育てを担う家庭が主流でした。 しかし、現代では社会構造や働き方が大きく変わりつつあり、共働き世帯は年々増加しています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」を集計した結果によると、2023年時点で約70%の世帯が共働きとなっており、専業主婦世帯の数を大きく上回っています。 また、終身雇用や年功序列が崩れつつある現代では、1人の収入だけに頼ることが難しくなっているのが現実です。夫婦それぞれが収入を得ることで家計を支える家庭は、今後も増えていくと考えられます。 このように、昔と現代では社会情勢や価値観が大きく変化しているため、「結婚=家族を養う」という従来の考え方だけに縛られる必要はないといえます。