【コラム】ハリス氏必読、トランプ氏論破のコツ教えます-オブライエン
3)司会者は適度に無視して構わない:討論相手を繰り返し侮辱したり、司会者の質問を全部無視したりするのは別として、たいていの脱線には視聴者は寛容だ。2020年討論会では汗だくで好戦的なトランプ氏がバイデン氏の話を延々と遮り反感を買ったことが、バイデン氏勝因の一つだった。あの場所ではバイデン氏だけが大人だった。司会者の指示をトランプ氏より頻繁に受け入れつつ、質問から逃げたり話をそらしたりするタイミングを分かっていた。ハリス氏も同じことができる。
4)得意の議題で戦え:人工妊娠中絶とリプロダクティブライツ(女性の性と生殖に関する権利)は、民主党およびハリス氏が勝てる分野だ。トランプ氏はこれまでにこの議題に関して何度も見解を翻し、もはや何が本当の姿勢なのか信頼できなくなっている。ハリス氏は自らこの議題を提起するとともに、検察官としての実績や犯罪と法務執行に対するビジョンを強調するべきだ。移民問題は民主党のアキレス腱(けん)になっているが、これを逆手に取る反撃の手段がある。超党派でまとまった移民法案をトランプ氏が身勝手な政治的理由でつぶしたこと、そしてバイデン大統領による最近の亡命規制強化で国境地域の問題が沈静化したことを有権者に思い出させることだ。新型コロナ禍後の医療に対する健全なアプローチも指摘に値するだろう。人種とジェンダー、富の不平等への対応も然(しか)り。ハリス氏は成熟した判断能力とアメリカンドリームへの楽観、未来志向というメッセージを運ぶ。喜びとチャンスというカードは常に強力な切り札だ。
5)激戦州の有権者を忘れるな:先に挙げたポイントと関連するが、この選挙戦は最初から、激戦6、7州の有権者と浮動票の奪い合いだ。しかし最大の争点は常に経済だった。もちろん有権者が気にしている問題は複数ある。しかし経済が安定トップの位置にある。インフレは多くの有権者が生活の苦しさ実感する指標であり、経済全体の一面を成す。トランプ氏は間違いなくこの問題で攻撃を続けながら、移民が米国を侵略するという恐怖をあおるだろう。ハリス氏には経済のデータと現実という味方がいる。ゴールドマン・サックスが最近明らかにした予測では、「ハリス政権」下の米国は「トランプ政権」より好調な経済を享受する。ハリス氏はその旗を振るべきだ。