【コラム】ハリス氏必読、トランプ氏論破のコツ教えます-オブライエン
選挙そのものにおいて討論はさほど重要ではないというのが、一般的な認識だ。しかし時にこれが勝運を左右する。だからこそ両陣営は真剣に取り組んでいる。
トランプ氏はいつものように攻撃的で、偽情報にまみれ、人を見下し、大げさに振る舞うだろう。それこそ同氏の支持層が求めている姿だ。陣営はトランプ氏の優しい面が討論で出てくることを望んでいる。共和党の全国大会で、分裂ではなく統一をもたらすトランプ氏を期待していたアドバイザーたちと同じだ。その期待は裏切られ、党大会は分裂をもたらすトランプ氏で閉幕した。10日の夜は、悪意に満ちたトランプ氏が見られるだろう。
ハリス氏はこの討論会で主導権を握りたければ、少なくとも以下のことに留意してほしい。
1)分割画面を意識せよ:90分の討論会中、カメラはずっと候補者を撮影している。話していないときの表情も注目される。その動画はネットで拡散される。6月の討論会でバイデン氏はゾンビのように見えた。始まって10分か15分で、バイデン氏再選のチャンスは遠のいた。いつもは自制から程遠いトランプ氏は、でたらめな話を続けたにもかかわらず、このときは自制を効かせているように見えた。ぼやけた受け答えに自制が勝利した討論だった。選挙遊説でのハリス氏はてきぱきと、楽観的で、情報通であり、常に完璧な話しぶりだ。その姿こそ分割画面の片側に映し出されるべきだ。
2)攻撃は最大の防御なり:全てのコメディアンと同様、トランプ氏は聴衆の前では気分が乗り、自分の話しぶりを楽しむ。同時に動揺することも多い。うそつき呼ばわれされても構わないが、変人扱いされることは気にする。道化のレッテルを貼られても気にしないが、無能と見られることは恐れる。独裁者にこびへつらうと言われても平気だが、憲法をないがしろにしたと言われると冷静さを失う。大統領職の法的権限を乱用していると言われても構わないが、無法者呼ばわりは気に障る。見た目で人を攻撃することをいとわないが、元気のない高齢者と評されるのは嫌だ。自分が大統領だった時に米経済はブームを迎えたと好んで繰り返す。以前からハリス氏を気に入らないと思っていたトランプ氏だ。ハリス氏が討論で痛いところを突けば、トランプ氏はバランスを失って倒れる。ハリス氏はそのような攻勢に出るべきだ。