都市部のホテルが取れない 「ネット民泊」は切り札になるか
貸し手と借り手を口コミでつなぐ
そのサービスの一つ「Airbnb」(エアビーアンドビー)は、米国で2008年に生まれた。同社サイトによると、世界190か国、3万4000以上の街で、貸す人と借りる人をつなげているという。様々な宿泊場所をパソコンや携帯、タブレットで選んで予約できる。日本国内でも多くの登録があり、試しに東京で探すと、1000円台から1万円超まで、様々な部屋が掲載されている。5000円前後が多く、一般のホテルよりも割安な印象だ。 こうした一般家庭と旅行者を結ぶもののほか、不動産業界でも空き部屋を活用すべく、ネットを使った宿泊提供に興味を示す動きもある。 ただ、法的な面での課題がある。お金をもらって不特定多数の人を泊める行為は、旅館業法の適用を受ける可能性がある。ただ、単なるホームステイであれば、旅館業法の対象にはならない。その線引きが難しい。 インターネットを使った民泊について、安倍首相は今年3月17日、参議院予算委員会で「貸し手側だけではなくて借り手側の情報についても、情報を手に入れる基盤がだんだんできつつあるということなのだろう。そういう変化の中において我々も適切に推進をしていきたい、その中で増えていく観光客に対応していきたい」と、前向きな姿勢を示した。 ただ一方で、ホテルや旅館業界がこうした動きを好ましく思わないのは、想像に難くない。7月6日の日本経済新聞朝刊の記事では、民泊を広げる規制緩和について、「政府は業界の顔色を気にして及び腰」だと指摘している。 しかし、民泊が広がれば、ホテルの客室不足を補えるだけでなく、日本人と外国人の市民レベルでの草の根交流も育まれ、日本への理解も深まるはずだ。大規模な施設開発の必要もなく、空き部屋を活用できて収入も発生する。こうした一石二鳥にも三鳥にもなり得る民泊について、国によるルールづくりや法的な整備を求める声は、今後いっそう高まりそうだ。 (記者・メディアコンサルタント/坂本宗之祐)