都市部のホテルが取れない 「ネット民泊」は切り札になるか
来日する外国人観光客が急増する中、東京や大阪で「ホテルの予約が取れない」と、出張ビジネスマンたちから悲鳴が上がっている。今年1~3月、東京のビジネスホテルの客室稼働率は85.5%、大阪では85・3%に達した。政府は東京五輪の2020年に向け、来日外国人観光客を年間2000万人にまで増やすことを目標に掲げるが、受け入れ態勢への懸念が強まりつつある。そんな中、観光客が一般の家庭の空き部屋に泊まる「民泊」への注目が高まっている。この民泊は、宿泊施設の不足を解消する切り札になれるだろうか?
調査開始以降で最も高い稼働率
観光庁の調査によると、今年1~3月の全国の客室稼働率は、シティホテルは75.3%、ビジネスホテルは72.0%。いずれも調査開始以来、最も高い稼働率を記録した。昨年、来日外国人観光客は年間1300万人を超えたが、今年は1~5月だけで753万8000人に達しており、前年同期より44.9%も伸びている。 ホテル側にとっては、海外からの観光客は、かなり早い段階で予約を入れてくれるため、売り上げの見込みが立つありがたい存在だ。一方で、国内のビジネスマンの出張が決まるのは、どうしても直前に近くなってしまう。このため、国内ビジネスマンが予約を取ろうとしても、すでに満室になっていることが多くなっているという。 新しくホテルを開業する動きも見られるが、2020年の東京五輪後も宿泊者数が高水準で続く保証はどこにもない。このため、業界でもまだ思い切った投資に踏み切りづらい面があるようだ。 そこで注目されているのが、一般家庭の空き部屋に泊まってもらう民泊だ。外国人にとっては、一般の日本人の生活に触れられるメリットがある。貸す人にとっても、空き部屋から収入を得られるのは魅力的だ。 その民泊が手軽に実現できるインターネットのサービスがこのところ人気を集めている。泊めたい人と、泊まりたい人を仲介するもので、両者とも泊まった評価をサイトに書き込める。その口コミは、泊まって良いところか、泊めても良い人か、お互い判断する材料になる。