米国債弱気派はインフレヘッジ、トランプ氏かハリス氏の圧勝に備え
(ブルームバーグ): 接戦の米大統領選に国民はくぎ付けだが、米国債投資家は連邦議会選の行方に注目している。財政支出を膨らませかねない選挙公約を立法化する動きが、議会で滞るか、よりスムーズな軌道に乗るかを左右するからだ。
連邦財政は既に大幅な赤字に陥っており、成長率は健全なペースにあるものの、大統領候補であるトランプ前大統領とハリス副大統領は、減税と新規の歳出の組み合わせで経済を活性化させると公約している。だが、28兆ドル(約4160兆円)規模の米国債市場は、ほとんど動じていない。上下両院で多数派が異なるねじれ議会となる可能性が世論調査結果で示されており、次期大統領の計画の多くが頓挫する公算が大きいからだ。
しかし、過去の議会選の結果は市場を驚かせてきた。米国財政の方向付けは、ホワイトハウスと同様に立法府が制御できることを思い出させた。例えば、2020年大統領選でのジョー・バイデン氏勝利は米国債市場に大きな変化をもたらさなかった。だが、その2カ月後にジョージア州で行われた連邦議会上院の決選投票の結果を受け、民主党が予想外に上院で主導権を握ることになり、バイデン氏の歳出法案の道が開けたときに利回りは上昇した。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのエド・アルフサイニー氏やアンドロメダ・キャピタル・マネジメントのアルベルト・ガロ氏など一部の資金運用担当者は今、同様の番狂わせが起こる可能性があると見ている。債券市場が政治の停滞が続くと過信するあまり、次期大統領が大胆な予算案の一部を成立させインフレ率と債券利回りが上昇する可能性を過小評価していると指摘する。
コロンビア・スレッドニードルで世界金利ストラテジストを務めるアルフサイニー氏は「ねじれ議会になり誰がホワイトハウス入りしようと抑制できるとの見方が多い」と指摘。「上下両院とホワイトハウスが一つの政党に支配される可能性に備えて保険をかけるコストは、今ならかなり安い。われわれは少し保険をかけている」と述べた。