斎藤知事「告発文問題」がアクセルになったか『公益通報制度』に厳罰化の動き 通報者処分した事業者に「刑事罰」検討
■「百条委員会でやるべきことは“人間関係”」と鈴木哲夫氏
3月12日に告発文が報道機関に配られたが、その時点で公益通報に当たると亀井弁護士は考えている。 亀井正貴弁護士:公益通報は、その対象事実というのは、例えば犯罪に関わるようなことで、消費者の生命とか害するような事実だったら全部公益通報に当たるんです。これは形式的に当たる。ただ守られるべき公益通報かどうかはまた別なんです。内部通報と外部通報によって守られるべき、例えば懲戒にもされないし、何らかの賠償責任を受けないという守られるべきものはハードルが高くなります。前提として形式的に公益通報にはすぐ当たるんです。 公益通報者保護法では、告発者探しと不利益な取扱いは禁止されている中で、3月12日から公益通報だという認識があれば不利益な取り扱いはされないようになったはずだということになる。 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:実質的には3月12日が公益通報にあたるという解釈でいいと思うんです。もう一つ僕は百条委員会でやるべきことは、“人間関係”なんですよ。 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:行政どこもそうなんですが、新しい政権ができたりすると、それまでの県庁の中の人事・人間関係というのがずっとあるわけ。力学が変わってくると、そこで“知事派”だとかそうじゃないとか、僕はやっぱりそういうものが背景にあると、最初から感じていた。 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:この辺も出すことによって、もしかしたら簡単に解決するかも。『なんだ、そこの人間関係じゃないか』とかね。話が公益通報という制度論になっているから、行政の中の日常ありがちなドロドロした人間関係みたいな、対立構図みたいなところを明らかにしてほしいという気がするんです。
■「公益通報に当たりうるという考え方が欠落」斎藤知事に対して亀井弁護士指摘
斎藤知事の25日の証人尋問の中で、公益通報に関して次のような発言があった。 ・外部通報に「真実相当性がない」ということで、保護要件にあらない。 ・「公益通報」への処分ではなく、「誹謗中傷の文書作成」の処分で適切だったと思う。 亀井正貴弁護士:誹謗中傷なのかどうかは公益通報と全然別なんです。誹謗中傷が含まれていたとしても、公益通報は当然あり得るわけなんです。恐らく誹謗中傷は、例えば名誉毀損とか違法行為であり、場合によっては犯罪行為だから潰していいんだと意識が走っていたと思いますけれども、公益通報にも当たりうるということの考え方が欠落しているということです。 亀井正貴弁護士:外部通報に真実相当性がないということに関しては、言っていることはこのとおり。現実に真実相当性がないのかどうかというのは、例えば物的証拠、ラインやメールとかですね、そういうものによって事実を認められるものなのかどうかとか。あるいはかなりしっかりした証言が得られているかどうかということの判断で、これは中身を見てみないと一概に言い切れないと思います。 関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:25日午前の百条委でも、外部の有識者を招いて公益通報制度そのものについての意見がありました。その中で、大企業でも公益通報窓口を持っていても、実際に利用されるケースは少なくて、特に最初の段階で不利益な扱いを受けるんじゃないかとか握りつぶされるんじゃないかと見えてしまうと、そもそも信頼関係が破綻してしまっている。 関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:そうすると形だけになってしまうとことが懸念されると言っていました。まさに今回の前副知事の発言に、公益通報制度を後退させてしまわないかなという懸念を持ちました。 兵庫県庁内のコンプライアンスやガバナンスについて、「意識は低かった」と亀井弁護士は述べた。 亀井正貴弁護士:そういう意識は低かったと思うんです。内部通報がなかなか機能しないから、外部通報に流れていくんです。内部通報しても潰されてしまうから。 亀井正貴弁護士:(鈴木哲夫さんの指摘にあったように)公務員の中ではドロドロした人間関係がありますから、特定されてしまう危険性が高い。自分が特定されてしまうと、さらに情報源に広まっていく可能性が高い。ということから内部通報は危ないと思って、外部に流した可能性もあると思います。
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