「スターダムをメチャクチャにしてやるからな」に込められた意味… ヒールとなった上谷沙弥が2024最終戦で新たな団体トップに君臨するまで
そんな“親心”を知ってか知らずか、上谷は次なる罠を仕込んでいた。コーナー上からタイガースープレックスで投げられた上谷が動かない。腕を負傷したようだ。急きょレフェリーがリングドクターを呼び込む。たむの表情も不安に染まった。自分が上谷にケガをさせてしまったのか...。 だが次の瞬間、上谷はたむに襲いかかる。フランケンシュタイナーから一気呵成、最後は旋回式スタークラッシャーで3カウントを奪った。いや“強奪”と言ったほうがいいか。 誰もが想像もしない形での王座移動。上谷はさらなる屈辱をたむに与える。 「ベルト巻けよ。チャンピオン様の言うこと聞け」 同じ会場でたむから白いベルトを獲得した時には、ベルトを巻いてもらい泣いた上谷。今回も光景としては同じだったが、意味がまったく違った。 ベルトが腰に巻かれると「負けたんだから早く帰れ」とビンタ。どこまでも傍若無人に、上谷は新たなスターダムのトップとなった。 「中野たむへの復讐はまだ終わらない。来年からもスターダムをメチャクチャにしてやるからな」 反則を使う上谷の闘いには批判も多い。しかしヒールは単なる“キャラ”ではない。そこに悲劇という“芯”があるからこそ、2025年のスターダムはヒール・上谷を中心として始まることになる。 取材・文●橋本宗洋