若い世代に広がる不妊の心配…「卵子凍結」は本当に検討すべき? アメリカ人女性の実体験から考える
1年半前、シャニア・ボパは夕食の席で姉から「卵子凍結、考えたことある?」と聞かれた。 【写真】子どもを持たない決断をした10人のセレブ 「突然のことに驚きました」と25歳のシャニアは語る。でも、10歳年上の姉は医者なので、シャニアは彼女の質問を真剣に受け止めた。姉は、将来の夢を考えると、妊孕性の温存を検討したほうがいいと言う。確かにすべてが計画通りに進んだ場合、シャニアが親になるのは30代半ばを過ぎてからになる可能性が高かった。当時のシャニアはグローバルヘルスの博士課程を始めたばかりで、ホームレスの若者を支援する慈善団体を運営し、女性と少女のエンパワーメントに焦点を当てた複数の会社を設立したいと思っていたから。 また、シャニアには愛情深いパートナーがいたけれど、他の25歳やZ世代の女性と同様、近々妊娠する予定はなかった。 シャニアは姉の提案について何ヶ月も考えを巡らせた。30代半ばから後半で不妊に苦しんだ女性たちの話も聞いた。妊孕性についても調べ、卵子の数は年と共に減少することを知った。そして、妊娠可能年齢が1年、また1年と減っていく現実に大きな不安を感じ始めた。 「私は35歳くらいで子どもが欲しいと思っています。それより前はたぶんないです」とシャニア。「でも、妊活を開始するのが35歳きっかりではなく36.5歳だとしたら? その頃にはもう、1年半が大きな違いを生みますよね」 その後、26歳になった時点で親の医療保険から外されることを知ったシャニアは、やるならいましかないと思った。いまなら親の医療保険で、卵子凍結の費用が約7500ドル(約100万円)までカバーされる。そして、この金額にはホルモン剤の処方、採卵手術、卵子の冷凍保存が含まれる(米国では医療保険のプロバイダや居住地次第で、総費用が数万ドルを超えることもある)ことを知り、シャニアは卵子凍結を決意した。 2023年2月、シャニアは排卵誘発剤(ゴナールエフ、ルベリス、オルガルトランなど)の自己注射を開始した。これは、卵巣にある卵胞の数を採卵手術までにできるだけ増やしておくため。2023年3月下旬には初の採卵手術を受けた。採取された卵子の数は約25個。臨床医学誌『Journal of Clinical Medicine』に掲載された2023年の研究結果を見る限り、これは平均的な採取数の2倍以上。(米ニューヨーク大学ランゴン不妊治療センターの2022年の論文によると、女性が妊孕性を温存するために採卵手術を受ける決意をするのは平均38.3歳で、この頃には卵子の数がもっと少なくなっている)。採卵された卵子は冷凍されて、シャニアが使用を予定している10年先まで保管される。 初めて卵子を凍結してから1年が経過したけれど、必要となれば、いまでも同じ選択をすると言うシャニア。「私にとってはデメリットがありませんから」 ※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。 ※本記事は、個人の感想に基づいたものです。