ボルボ新型「EX30」に試乗! 使えるワンペダルに「ベントレー」と「ブラックベリー」が隠し味で559万円はお買い得です
ベントレーから移籍したデザイナーが手がけた
乗り込んで感じられるのは、「意識の高さ」より「見識の高さ」が際立って感じられる内装であること。ペットボトル由来のポリエステルを用いたファブリックや人工皮革風の素材によるコンビシート、窓枠サッシを砕いて再生された加飾パネル、漁網から再生されたフロアマットに、廃デニム材をリユースしたパネルやマットなど、再生素材やリサイクル可能な素材をふんだんに用いている。それでいて、柔らかく温かな雰囲気の北欧テイストは失われておらず、これまでの高級車にあったようなレザー・ウッド・クロームモールといった組み合わせが、一気に古いものに思えてくる。 驚くのは、いわゆるメーターパネルがないこと。12.3インチのセンターディスプレイに選択中のシフト表示とか、バッテリー残量といった走行情報も集約されている。速度など走行情報の表示もセンターディスプレイ上部にまとめられた。これは配線ハーネスの量を減らすための方策で、オーディオのスピーカーもたしかにドア内スピーカーなどはなく、ダッシュボード奥にハーマン・カードンのサウンドバーが備わっている。 それでいて、ドアオープナーはアルミ製だったり、センターコンソールまわりの収納は明らかにICEより広く、2段階に引き出して1人用/2人用と使い分けられるドリンクホルダーなど、造りも節度感も申し分ない。また後席側から取り出せるダストボックスには、側面の成型モールが森とトナカイという自然豊かなモチーフのイラストになっていて可愛らしい。機能面でも使い勝手でも妥協がないのに、シンプルで要素を極端に減らしたこのインテリア、じつは英国人でベントレーから移籍してきたデザインチーフが手がけたと聞いて、さらに驚いた。 いってみれば、新興メーカー勢の「クルマ未満」のようなBEVの内装と違って、既存の自動車メーカーがBEVの時代に「自動車」を再定義しつつ見つめ直した、そういう練り込まれ方のインテリアだ。「小さな高級車」の超モダン解釈、でも乗り手の神経を逆撫でしない優しさに満ちているところが好ましい。
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