防御線が脆弱になるウクライナ東部、ジャベリン擁する空挺部隊が気を吐く
ウクライナ東部ドネツク州の都市型集落クラヒウカの郊外で戦線を維持するウクライナ空中強襲軍(空挺軍)第79独立空中強襲旅団は7月24日かその少し前、ロシア軍による今年最大級の攻撃を撃退した。戦車11両、歩兵戦闘車45両、珍しいBMPT戦車支援戦闘車1両、オートバイ12台、兵員数百人を投じた猛攻だった。 【画像】ジャベリンの直撃を受けた亀戦車が内部から出火。戦車は爆発した 第79空中強襲旅団は地雷やドローン(無人機)、大砲、対戦車ミサイルで迎え撃ち、戦車6両、歩兵戦闘車7両、オートバイ全12両を撃破した。同旅団はロシア側の死者40人、負傷者37人も数え上げている。 それから3カ月後、第79空中強襲旅団は同じ方面で引き続きロシア軍の攻撃を退けている。ロシア軍は25kmほど北にある要塞都市ポクロウシクの攻略を目指してその方面に攻勢努力を傾注しており、クラヒウカ方面の最近の攻撃は以前よりはずっと規模が小さいものになっている(編集注:ただ、ウクライナの調査分析グループ、ディープステートによるとクラヒウカ自体はロシア側に半包囲されている)。 とはいえ、小さな勝利であっても重要なことに変わりはない。ロシアが戦争を拡大して約2年8カ月経過するなか、ウクライナ軍の戦力は1000kmにおよぶ戦線で薄く引き伸ばされている。ウクライナ軍はウクライナの東部と南部で防御戦を続けると同時に、ロシア西部クルスク州に侵攻してつくり出した800平方kmほどの突出部の保持も図っている。 ウクライナ側の防御線が脆弱になっていることは、ここ数カ月、ロシア側がいくつかの方面で小さいが重要な前進を遂げていることからも明らかだ。ロシア軍はポクロウシクに向けて進撃しているだけでなく、その北東に位置するトレツクの市内にも進軍し、南方の要塞都市ブフレダルも2年越しでついに攻略した。こうした文脈では、ロシア軍の進撃を阻止しただけでもウクライナ軍にとっては重要な勝利に数えられる。 第79空中強襲旅団は、どんなにささやかなものであっても、こうした勝利を喜んでいるようだ。同旅団は18日ごろ、ドローン対策のケージ装甲や地雷除去用のローラーを装着したロシア軍の通称「亀戦車」が単独で進んでくるのを見つけ、米国製のジャベリン対戦車ミサイルを撃ち込んだ。その凄惨な結果をソーシャルメディアで祝している。