意外と知らない「お年玉」の由来「お年賀」とはどう違う?
本日からスタートした2025年。お正月行事はよく目にしていても実は由来を知らない、という人も少なくありません。そこで今回は飯倉晴武氏監修の『絵と文で味わう 日本人のしきたり』(青春出版社刊)から、お正月行事の由来について、抜粋して紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● 初夢:2日の夜に見る夢でその年の運勢を占う 一般的に、正月2日の夜に見る夢を「初夢」といい、見た夢の内容によって、その年の運勢を占います。「なぜ元旦ではなく、正月2日の夜なのか」というと、昔は書き初め、稽古始め、仕事始めなど、年初めの行事が2日だったので、一年のスタートとして2日が重視されたためといわれます。 初夢の信仰は、もともと中国から伝わったもの。「夢を食う」といわれる貘(ばく)の絵を枕の下に入れて、吉夢を見ようとした中国の故事にあやかって、日本でも室町時代には、縁起の良い七福神を乗せた宝船の絵を、枕の下に入れて寝るようにしていました。 江戸時代になると、めでたい初夢というのは「一.富士、二.鷹、三.茄子(なすび)」の順といわれるようになりました。これらは、いずれも徳川家康ゆかりの駿河(するが)(いまの静岡県)の名物で、当時、天下を取った家康にあやかりたいという庶民の願望もあり、こうした夢が吉夢とされました。
● 門松:神が宿る松の木を門前に立てる お正月になると、玄関前や門前に「門松(かどまつ)」が立てられます。左右に一対並べるのが一般的で、玄関に向かって左側の門松を「雄松(おまつ)」、右側を「雌松(めまつ)」と呼びます。 もともとは新年を迎える際に、年神様が降りてくるときの目印として、杉などの木を立てたのが始まりでした。とくに松が飾られるようになったのは平安時代からで、松は古くから神が宿る木と考えられていたためです。そこに、まっすぐに節を伸ばす竹が、長寿を招く縁起ものとして添えられるようになりました。 門松を立てておく期間は、一般的には7日までの松の内の間ですが、地域によっては5日、10日、15日とまちまちです。 ちなみに、この門松は12月28日ごろに立てるのがよく、29日に立てるのは「苦立(くたて)」といい、31日ギリギリに立てるのは「一夜飾り」といって、いずれも嫌います。 ● しめ飾り:家の中を、年神様を迎える神聖な場所にする 正月近くになると、玄関口や家の神棚などに「しめ飾り」をします。これも門松と同様、正月に年神様を迎えるための準備です。 もともとは、神社がしめ縄を張りめぐらせるのと同じ理由で、自分の家が年神様を迎えるにふさわしい神聖な場所であることを示すために、家の中にしめ縄を張ったのが始まりでした。かつては、「年男」と呼ばれる家長がその役目を担いましたが、やがて簡略化されていき、しめ飾りや輪飾りになっていきました。 しめ飾りは、しめ縄にウラジロ、ユズリハ、ダイダイなどをあしらって作ります。 ウラジロは常緑の葉であることから長寿を、ユズリハは新しい葉が出てきて初めて古い葉が落ちることから、次世代に家系を「譲って絶やさぬ」という願いを込めています。 ダイダイは家が代々栄えるといったことから、縁起物として正月飾りに使われるようになりました。