ホームレスの4割「今のままでいい」 平均年齢63.6歳、進む高齢化
路上生活の日々を経て、路上生活者(ホームレス)の支援活動に携わるようになった男性がいる。窃盗を繰り返して服役し、出所後も仕事が続かずギャンブルにも溺れた、つまずいてばかりの半生だった。 【写真まとめ】炊き出しで、シチューをよそう三宅さん 「こんばんは。具合はどう?」。年の瀬が押し迫り、冷え込んだ2024年12月27日の夜。福岡市中央区の舞鶴公園で、路上生活者を支援するNPO法人「福岡おにぎりの会」(同市博多区)のメンバー、三宅紀幸さん(56)が、湯気の立った温かいシチューの炊き出しを手に寄り添っていた。 相手は公園で暮らす70代の男性。腰を痛めており、寝袋に入って横になったまま「(シチューを)置いておいて」と言うと、「死んだらそこら辺に散骨しといて」と冗談めかしてつぶやいた。三宅さんが「20年先ですよ」と応じると、男性は「そげん生きるもんか」とぶっきらぼうに返事した。 ◇全国に2820人 厚労省調査 厚生労働省の調査によると、全国のホームレスの数は年々減少し、2024年1月時点で2820人(能登半島地震で調査未実施の石川県を除く)だった。このうち男性は2575人、女性は172人、防寒具を着込むなどして性別が判別できなかった人は73人だった。 都道府県別で最多は大阪府の856人。次いで東京都624人▽神奈川県420人▽福岡県163人▽千葉県121人▽愛知県110人。起居場所別では都市公園25・2%▽道路23・8%▽河川22・6%▽駅舎6・2%――だった。 一方でホームレスの高齢化が進む。厚労省の21年の生活実態調査では、平均年齢は63・6歳。70歳以上は34・4%と3人に1人の割合で、16年の調査時から14・7ポイント増加した。 今後の生活について「今のままでいい」と答えた人は40・9%に上り、「アパートに住み、就職して自活したい」は17・5%、「アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい」は12・0%だった。 ◇ 人生をやり直すため奮闘する三宅さん。その支えになっているのは、亡き母からもらった手紙にあった言葉だった。【山口響、平川昌範】