【解説】「時間的余裕」消えた?12月利上げに含み 日銀が注目する“海外経済リスク”と利上げ“打ち止め”のタイミング
佐藤: いわゆる“利上げナシとは言ってないよ”という感じですよね。 日銀が「時間的余裕」というキーワードを使わなくなったことも注目に値する。これは、次回の利上げを見送る可能性を示唆するものではなく、むしろ利上げの可能性を残しているとも解釈できるが…。 佐藤: ここのところのキーワードだった「時間的余裕」ですけれど、やっぱりリスクの度合いは少しずつ下がっていると。このリスクというのは基本的にアメリカとか海外を念頭に置いているもので、これがポイントだったと思うのですが。 末廣: あえてこの表現を使わないようにしたというのは、「時間的余裕がある」と言っちゃうと次は利上げはないと解釈されちゃうような雰囲気になっていたので。良くも悪くも使わないということで、“気にしないでください”という。ただ現実に、時間的余裕があると言っていたわけですよね。それがあるとはもう言わなくなったわけですから。もう明確に利上げしてもいいかなと思ってるのは事実。 では、利上げのタイミングはいつになるのか。ブルームバーグが10月17日~22日にかけてエコノミストを対象に行った調査では、12月に0.5%に引き上げるだろうという予想が最も多く、次点で1月が多かった。 末廣: 植田総裁の発言を受けて若干12月によるかなと思います。でも現実的には、為替次第なのかなと。要するに153円ぐらいの今のこの水準っていうのは、利上げやるとも言わないけどやらないとも言えないぐらいの感覚なんでしょうね。このままいくと、日銀が利上げしないと160円になっちゃうみたいな感じになれば、12月に手を打たざるを得ない。ただ直近の衆院選の結果を見ると、世の中の、家計の不満がありますよね。これが大きいと、今の水準は日本経済にとってちょっと円安すぎるのかなと考えたりとか。できれば利上げをしたいという方が強いのかなと。 ■利上げ“打ち止め”は春先か? 末広さんは、日銀の利上げが「近い」とする一方で、利上げを止めるタイミングについても指摘する。