仕事のミスを隠そうとする部下、掛けるべき「一言」
上司が掛けるべき「一声」とは?
部下がミスを報告してきたとき、まず上司は「このミスは5つのタイプのどれに当てはまると思う?」と尋ねるべきだ。そうすることで部下は自分のミスの性質を理解できる。 もし、ミス5種類についても知識不足なら、この機会に教えてあげよう。ミスなんて、なかなか起こることではない。常に5種類を頭に入れている部下なんていないだろう。問題解決力アップにもつながるため、丁寧に対話しよう。 ヒューマンエラーによるミスなら、部下に「どうしたらこのミスを防げるか、考えてみよう」と対策を考えさせる。一緒に考える必要はない。再発防止策もレパートリーは限られている。 しかしそれ以外のタイプのミスなら、「このミスは組織全体の問題かもしれない。一緒に考えていこう」と声をかける。 知識やスキル不足によるミスなら、本人のみならず上司も対策を考えるべきだ。今回は他の人に依頼すべきだったのか、それとも仕事をしながら知識やスキルを身につけさせるべきだったか。本人の意向も踏まえて再発防止を考えよう。 コミュニケーション不足によるミスなら、組織のレポートラインなどを確認しながら丁寧に問題の箇所を特定しよう。 「Kさんから説明はなかったの?」 「いえ、ありませんでした」 「おかしいな、Kさんに説明しておいたのに……」 Kさんに問いかけたところ「うっかり忘れてました」と言うなら、Kさんによるヒューマンエラーということになる。 しかし、Kさんの「感情的な部分」に問題があるケースもある。
感情的な部分に問題があるケース
「どうして私が新人に説明しないといけないんですか? 私が新人のときは、こんなに手厚いフォローなんてなかったですよ」 「それに、あいつの態度が気に食わないです。親身になって説明しても、ありがとうの一言も言いませんからね」 このようにKさんが言うなら、問題の根は深い。Kさんに 「ちゃんと説明しろよ。これは君のミスだぞ」 と突き放してしまうと、問題をさらに大きくする。 このように上司は丁寧な対応が必要だ。「ミス」と聞くと、「うっかりミス」をはじめとしたヒューマンエラーしか思い浮かばない人は多い。しかし、そんな先入観を上司が持っていると、部下は安心してミスを報告しなくなる。 「自分のミスじゃないのに、責められるのはいつも自分だ」と思い込み、隠すようになる。 繰り返すが、上司はミスの種類を細かく分解し、部下と一緒に考えることだ。 「申し訳ございません。ミスが発生しました」 部下にこう言われたら、 「何やってんだ! またお前かよ」 「意識が足りないんだよ。ったく!」 と反射的に叱らず、 「分かった。対策をしたら、ミスの発生原因を一緒に考えよう」 と冷静に伝えよう。そうすることで、部下は安心してミスを報告できるようになる。これをキッカケに上司と部下は信頼関係を強めるだろう。もちろん部下の成長にもつながっていくはずだ。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
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