膨張する国債費、5年連続最大更新 「金利のある世界」で利払い増加 7年度予算案
政府が27日に閣議決定した令和7年度予算案の規模を拡大させた要因の一つが、国債費の膨張だ。歳出全体の2割強を占める。「金利のある世界」が戻り、利払い負担が重くなっていることが響いている。日銀の利上げが進むにつれ、利払い費はさらに増え、財政を圧迫するのは避けられない。日銀の金融政策の正常化に伴い、財政運営も転換点を迎えている。 7年度の国債費は28兆2179億円を計上。5年連続で過去最大を更新する。このうち利払い費は10兆5230億円に上り、6年度当初予算よりも8320億円増える。過去最大を記録した平成3年度の11兆円に迫りつつある。 長期金利の想定を2・0%と13年ぶりの水準に引き上げたことが利払い費を押し上げた。政府は予算編成の際、金利急騰のショックに備え、実勢よりも高めに想定金利を置く。平成29~令和5年度は1・1%だったが、6年度、7年度と連続して引き上げた。 ただ、平成3年度当時の長期金利は6%程度あったのに対し、令和7年度想定金利はその3分の1に過ぎない。それにもかかわらず利払い費が同規模に膨れる理由は、国が抱える借金の大きさにある。通常経費に充てる普通国債の発行残高は9月末時点で1065兆円に達し、当時の6倍強に及ぶ。税収不足の穴を埋めるため、日銀による大規模な金融緩和の下、低コストで国債を発行し続けたことで残高が積み上がった。 その日銀が今年に入り、金融政策の方向性を転換した。3月にマイナス金利政策を解除し、7月には追加の利上げを決め、国債買い入れの減額計画も公表した。市場では、次の利上げが来年1月か3月に行われるとの観測も出回っており、長期金利も上向き傾向にある。 国債は償還期限を迎えたものから順に、足元のより高い金利水準のものへと置き換わっていく。国債残高の積み上がりにより、金利が少し上昇しただけでも利払い費は増える。 大和総研の末吉孝行シニアエコノミストは「財政が大規模金融緩和に頼ってきたツケが回っている」と指摘する。7年度予算案の編成では、新規国債発行額が減り、残高の抑制を意識した動きもみられる。日銀の金融政策の正常化が財政運営にも変化をもたらしつつある。(米沢文)