原子核に新たな見方、2つの構造併せ持つことを発見 大阪公立大
α崩壊を起こす元素の原子核の実験データがまだ不十分といった理由で今回、先にチタンを検証した。殻構造を持つとみられてきた放射性元素がα崩壊を起こす謎の解明に対し、示唆的な知見が得られたとも考えられる。
研究グループの大阪公立大学大学院理学研究科の堀内渉准教授(原子核理論)は「実験データは前からあったが、誰も気づかなかった。われわれの解析方法によって原子核構造の転移が初めて示され、新しい見方が与えられた。α崩壊が起きる仕組みの解明のヒントになるのでは。今後、より重い原子核も調べたい」と話している。
成果は米物理学会誌「フィジカルレビューC」電子版に5月24日に掲載され、大阪公立大学が同29日に発表した。
なお、原子核の重さの認識は研究分野により、また必ずしも明確ではないが、原子核構造を考える上では概ね、カルシウムまでが軽い原子核と考えられるという。殻構造の本来の読みは「かくこうぞう」だが、原子核構造と混同しないよう便宜的に「からこうぞう」とも読まれている。