銀行・信金の貸出、11月は+3.0% M&A需要などに加え円安も寄与
Tetsushi Kajimoto [東京 9日 ロイター] - 日銀が9日に発表した11月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比3.0%増の626兆9236億円だった。前月の同2.6%増から伸びが拡大し、残高は2000年1月以降の最高水準を更新した。M&A(企業の合併・買収)や不動産関連の資金需要が強い構図は変わらず、11月は為替がやや円安気味に推移したことも「順調な貸し出し増」(日銀)につながった。 業態別にみると、都銀等が3.0%増の250兆6237億円で、伸びは前月の2.5%から拡大した。日銀によると「10月より11月の方が、昨年と比べれば為替が円安方向に振れた」たため外貨建て貸し出しの円換算ベースの金額が増え、伸び拡大の要因となった。ドルは10月は143─149円程度での推移だったが、11月には一時156円台まで上昇した。 地銀・第二地銀は3.5%増の298兆5370億円で引き続き高水準を維持。信金は0.8%増だった。 日銀の担当者は貸し出し動向について「日本の企業やファンドによる買収が内外で活発化しているためM&A向け貸し出しのほか、不動産向け貸し出し、経済活動全般の改善に伴う借り入れ需要を背景に(伸びている)状況に変わりはない」と説明した。 SMBC日興証券チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は「企業の投資意欲はあり、物価上昇もあって運転資金への需要も高まっている中で、一定の貸し出し拡大は今後も続いていくだろう」とみている。 預金平残は、都銀・地銀・第二地銀の3業態と信金の合計で前年比1.2%増の1049兆5693億円だった。前月は1.1%増だった。 *日銀の発表資料は以下のURLをダブルクリックしてご覧下さい。 貸出・預金動向: