モメンタム投資にほころびの兆し、記録的なリターンの年から一転も
S&Pダウ・ジョーンズの指数によると、今週の手痛い動きにもかかわらず、勝ち組銘柄を買って負け組を売る人気のクオンツ取引は24年に31%のリターンを上げ、02年までさかのぼるデータで過去最高の年になる見通しだ。
つまり、株式のパフォーマンスランキングは驚くほど一貫しており、エヌビディアやメタ・プラットフォームズといった大手ハイテク銘柄が常に上位を占めてきた。これはインデックスファンドに投資する人に容易な利益機会を与えてきた半面、特定の銘柄に集中し過ぎているという懸念にさらに拍車をかけている。
「全天候型」は横ばい
米連邦準備制度の姿勢が時にハト派、時にタカ派と二転三転したことや、各国の選挙、くすぶる地政学的な緊張、さらには中国当局の経済対策に対する姿勢の変化など、今年は数多くの出来事があった。
さまざまな相反する流れが多く発生したため、どのような投資環境でも安定的なリターンを得られるよう設計された「全天候型」のマルチアセットポートフォリオモデルであるリスクパリティーは、ほぼ横ばいで1年を終えた。「RPARリスク・パリティーETF」が示した。
モメンタム戦略は、クオンツトレーダーに広く使用され、学術研究によって裏付けられたアプローチでもある。より多くの投資家が参入したり、新しい情報を吸収するのが遅いことなどから、市場トレンドがしばらく継続する傾向を捉える。全てのリバランスの際に直近の勝者に再配分することで中長期的なトレンドを捉えるのに役立つ。
今年はまさにそのようなことが起こった。テクノロジー銘柄に大きく賭けたことに加え、モメンタム戦略はトランプ氏の大統領選勝利から恩恵を受けたシクリカル銘柄をさらに追加することで夏の低迷期を脱したと、アムンディのスマートベータ責任者ブルーノ・タイヤルダ氏は述べている。
この戦略の大きな利益を受け、特にパッシブ型ファンドの支配力が強まっていることもあり、モメンタム投資が株式市場で自己実現的なものになっているという懸念が強まっている。