【箱根駅伝予選会】最多98回目の出場を決めた中央大学は、6位通過にも表情は硬く 全日本は5位以内、箱根本戦は3位以内を
10月19日の第101回箱根駅伝予選会で、中央大学が6位に入り、8年連続98回目の本戦出場を決めた。年始の本戦では体調不良の選手が続出するアクシデントに見舞われ、シード権の獲得もかなわなかった。今年は、佐野拓実主将(4年、洛南)を中心にチームの結びつきを強くし、本戦での上位進出をうかがっている。 【写真】予選会通過が決まっても、選手たちが表情を崩すことはなかった
吉居駿恭・溜池一太・柴田大地は、全日本を念頭に出走見送り
6位での予選通過を知らせるアナウンスが流れても、中央大学のメンバーはうつむいたままで、白い歯をのぞかせることはなかった。吉居駿恭(3年、仙台育英)、溜池一太(3年、洛南)、柴田大地(2年、洛南)という主力を欠いた中でも、上位通過を期待されていただけに、表情は硬かった。 レース後のインタビューで藤原正和監督は、当初から吉居を走らせるつもりはなかったことを明かした一方、溜池と柴田は9月ごろに故障し、全日本大学駅伝を念頭に出場を見送ったと説明した。そのうえで、2021年以来の予選会となったことに「10番目までに入らなければ、全てを失うぐらいのつもりでやらないといけなかった。その危機感を共有するのは難しい面もあったが、4年生がしっかりとチームを作ってくれました」と、安堵(あんど)の表情を見せた。 チーム内の順位は、今年の本戦で9区を走った白川陽大(3年、大塚)がトップで、1時間3分58秒と総合17位に入った。1年生の快走も目立ち、上位10人のうち4人を占めた。5月の関東インカレ5000mで13分53秒32の自己ベストで6位入賞した岡田開成(1年、洛南)は、1時間4分28秒で白川に続き、総合24位でゴールした。「予選通過は当たり前で、1位通過を狙っていました。日本人のトップ集団で粘れるかな、と思っていましたが、経験が足りなかったのと、フォームが安定しなくて内臓が揺れたことが課題でした」と、岡田は悔しさをにじませた。
佐野拓実主将「誇りを持って走れるように」
今年の本戦は、上位進出の期待を集めながらのシード落ち。難しい船出となった主将の佐野は、チームの輪を強くすることに力点を置いてきたという。「駅伝では一つになることが非常に大切な要素。口で言うのは簡単ですが、本当の意味で代表として選ばれたメンバーが誇りを持って走ることができるよう、チーム力を高めてきました」と、この10カ月間を振り返る。 重視したのは、コミュニケーションを活発にして、風通しをより良くすること。自身が上級生と下級生のハブになって、会話を増やすことに注力し、日常生活でも下級生から声をかけることができるよう雰囲気を変えていったという。「怖い雰囲気があると、なかなかできないんですが、今では、後輩からジョグに誘うようにもなりました」と選手同士のつながりを深めてきたことに手応えを感じている。