パリ五輪レスリング 文田健一郎が語る金メダルに懸けた3年間への熱き想い 世界屈指の「反り投げ」のルーツ
トレーニングで身体の地盤を固め 今夏2度目のオリンピックへ
――2度目のオリンピック挑戦となるパリ大会が迫っています。身体づくりにおける現在の課題は? 文田 去年6月に左脚のハムストリングを肉離れしたのですが、今年の1月末に、今度は反対側のハムも肉離れしてしまいました。やはり年齢的にも怪我は増えてきているし、勢いだけでは乗り切れなくもなってきたので、強くする、伸ばしていくトレーニングより、今は身体の地盤をしっかり固めるトレーニングに時間を割こうと思い、怪我を予防するメニューを積極的に取り入れています。 ――具体的にはどのようなメニューになりますか。 文田 ハムの場合、完全に筋肉が伸びた状態から強く収縮させるときに切れるので、膝を伸ばしてハムにぐっとストレッチかかった状態で収縮させるという動作を重点的にやっています。今はリハビリを兼ねていますが、繰り返しやることで左右両方とも強さを出せることを目指しています。太くするとか大きくするとかじゃなくて、筋肉がネガティブな状態でも力を十分に発揮できるようにするメニューですね。 ――最後にぜひ、パリ五輪に臨む今の気持ちを教えて下さい。 文田 心から実感しているのは、色々な経験を経て今の自分があるということです。ウエイトトレーニングにしてもそうですし、レスリングスタイルにしてもそう。今あるのはすごく悔しい東京での銀メダルですが、パリで金メダルを獲れれば、きっと「あの経験があったからこそ」と言えると思うんです。東京の銀メダルを悔しいメダルで終わらせないためにも、パリでしっかり金メダルを獲って、「これまでの全ての要因があって、今ここに立っているんだ」と胸を張って言いたいと思います。
取材・文:藤村幸代 撮影:保高幸子 取材協力:日本体育大学、ミキハウス