アジャコングが東京女子に感じる全女のノスタルジーと闘い続ける理由 理想は「生涯現役」のジャイアント馬場
――東京女子のお客さんは、東京女子だけを見ている人も多い印象です。 アジャ:多いですし、ほかの団体から東京女子に流れてきたファンは、試合後の「てめえ、こら!」っていうギスギスしたのが嫌で、東京女子の幸せな空間を求めてくる方が多いのかなと思います。おそらく東京女子が目指してきたものって、そこだと思うんですよね。でも、東京女子をもっと大きくしたいファンからすると、「もっと他団体と交流したほうがいい」「もっとギスギスしたほうがいい」と思うこともあるだろうし、そのジレンマがあると思うんです。 でも、大丈夫です。東京女子は東京女子のやり方でいけばいい。もし日本で大きくならなくても、世界にはどんどん発信していますし。日本は特殊で、WWEで闘っている世界で超有名な日本人レスラーのことを、一番日本人が知らないんじゃないかと。ASUKA、IYO(SKY)、Kairi(Sane)も、海外で街を歩いていたら普通に声を掛けられるけど、たぶん日本ではめったにないはず。だから、「世界ではみんな有名だから安心して」って思う。野球が盛んではないヨーロッパなどに行ったら、もしかすると大谷(翔平)選手より彼女たちのほうが有名かもしれませんよ。 【アジャコングが描くレスラーの理想像】 ――里村明衣子選手が今年4月に引退されますが、アジャ選手は「お葬式が引退式」を理想とされていますね。 アジャ:私の一番の理想は、生涯現役だったジャイアント馬場さんです。今さら私が「プロレス引退します」と引退式をしたところで、世間では一生アジャコングとして見られる。たまに「アジャコングって今、何代目なの?」って聞かれるんです。ずっと私はひとりで、何代目もないんですよって言うんですけどね(笑)。 ――38年も現役でやられていると、そう思う人もいるかもしれませんね(笑)。 アジャ:タイガーマスクは何代か続いているので、そんな感覚で「何代目なの?」って言われることがあるんでしょうね。それができるなら、そうしたかったなあとも思っていますが(笑)。 ――アジャ選手はすでにレスラーとして完成されているように思いますが、ご自身では「こういうレスラーになりたい」という理想像はありますか? アジャ:まだ見ぬレスラーになりたいです。今と明日のアジャコングはまた違ったものになるだろうと思うんですよね。まだ見たことないアジャコングが、どこかに隠れているのかなと思うと楽しみだし、見る人たちが見たらそれがひとつの面白みにもなるだろうし。