「漫画 君たちはどう生きるか」作者を変えた観察力 観察力を鍛えると必然的に他の能力も鍛えられる
『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』はじめ、編集者として数々のヒット作を生み出してきた佐渡島庸平氏は、「観察力こそがドミノの一枚目」だと説きます。本稿では、同氏の最新著書『観察力を高める 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』より一部抜粋のうえ、観察力とは何かについて解説します。 【この記事の他の画像を見る】 ■「観察力」こそがドミノの一枚目 時間は有限で、習得できることは限られている。何を習得すると、長期間、広範囲に影響を及ぼすのか。ドミノの一枚目になるものは、何か。一番、応用がきく能力を鍛えたい。
『ドラゴン桜』という僕が編集した受験マンガの中では、東大合格のためのドミノの一枚目は、計算力と読解力といった基礎学力だ、と主張した。 経営や創作に役立つ能力とは何かを考えたときに、僕が直感的に思ったのが「観察力」だ。 観察力を鍛えると必然的に他の能力も鍛えられる。しかし、他の能力を鍛えることを意識していても、観察力の成長はゆっくりだろう。観察力こそが、ドミノの一枚目だ、と。 しかし、観察力を鍛えるときに、具体的に何から始めればいいかがわからない。思索を開始するときに僕がまず行うのは、辞書をひく、だ。字義を調べる。観察という言葉の意味を紐解くところから始める。言葉に潜む言霊を知ろうとする感じだ。
「みる」という行為は、合計で18もの漢字が存在するという。 見・䀎・看・視・診・督・察・睹・監・覧・瞥・瞰・覯・瞩・観・瞿・瞻・覿 よく使うものでも「見る」「観る」「視る」「診る」「看る」「覧る」と6つくらいある。 「察」という漢字と組み合わせると「視察」「診察」という熟語になる。「視察力」や「診察力」は鍛えても、応用可能な能力にならなさそうだ。やはり「観察力」に注目するのが良さそうである。 言葉の中に潜む言霊のようなものを探り、抽象概念を理解しようとするアプローチから「観察」についての思索は始まった。