掃除機で吸うのは効果ナシ 医師が解説「餅が詰まったとき」の応急処置 2年間で高齢者661人が亡くなる、生存率は17%
先輩医師は患者が救急外来に到着すると、気道確保を試み、その最中に鉗子を用いて、気道に詰まっていた餅を除去した。直径が3センチほどの小さな餅の切れ端だった。その後、心臓マッサージや点滴で血圧を上げる薬を投与したが、心拍が再開することはなかった。 こうした蘇生措置を30分ほど行ったあとに、筆者は死亡を宣告した。 患者は、正月に帰省した息子一家と夕食の最中だった。小学校1年生と幼稚園児の孫に、本格的な正月を経験させるため、祖母が手作りのお節料理を準備したそうだ。その中に餅が入っていた。
楽しい食事の最中に祖父が亡くなってしまった。同行してきた息子は落ち込み、どんな言葉をかけていいかわからなかった。 ■救命が難しいからこそ予防を 一度餅による窒息を起こした場合、訓練した医師がいなければ、餅を取り除いて呼吸を再開させることは難しい。そういう医師がいたとしても、高齢者では救命が難しい。 餅による窒息は予防が重要だ。高齢者の飲み込みの機能をしっかり見極めて、窒息しないような料理、食べ方を心がけてほしい。
上 昌広 :医療ガバナンス研究所理事長