掃除機で吸うのは効果ナシ 医師が解説「餅が詰まったとき」の応急処置 2年間で高齢者661人が亡くなる、生存率は17%
■高齢者が餅を食べるときの注意点 では、どうすればいいのか。 筆者は、過去に誤嚥性肺炎と診断されていたり、食事中にむせることが多かったりする高齢者には、餅は避けるようにと指導している。嚥下機能が低下していて、餅を詰まらせて窒息を起こしやすいからだ。 どうしても食べたい場合は、 ▼小さく切ること ▼ゆっくりよく噛むこと ▼水分を一緒に摂ること ▼周囲に人がいるときに食べること を心がけてほしい。料理をする人は軟らかくして、とろみを加えるといい。このような対応をとることで、詰まらせて窒息するリスクは減らすことができる。
では、不幸にも窒息してしまった場合はどうすればいいのか。 ■詰まらせたときに周りの人がまずすべきこと 窒息した人は苦しいため、のど元に両手をあて、息ができないことを訴えることが多い。顔面蒼白の苦悶症状で、のどが詰まっているので声が出せない。よだれを垂らすこともある。これを専門的には「チョークサイン」という。 のどを詰まらせて「チョークサイン」が出ている場合に、周囲がまずやるべきことは、呼吸ができているか否かを確認することだ。
息をしているなら、気道が完全には閉塞していない。まずは、咳をするように促すのがいい。これだけで餅による気道がふさがれた状態が解除されることがある。 一方、息をしていない場合は深刻だ。気道が完全に閉塞していることを意味するからだ。呼吸が止まると2分程度で脳にダメージが生じ始め、4~6分程度で元に戻らない状態になる。そして多くは7~10分で命を落とす。 すぐに救急車を呼ぶと同時に、以下の方法を試してほしい。通報するか迷ったら、「#7119」で相談してみるといいだろう。
■餅を詰まらせたときの対処法2つ ■餅を詰まらせて、息ができない場合①「背部叩打(こうだ)法」 この場合、周囲の人がまずやるべきことは、患者を前屈みにさせて、肩甲骨の間を手のひらでパンパンと強く叩くこと。これを専門的には「背部叩打法」という。衝撃により、気道を閉塞していた餅が外れることがある。 ■餅を詰まらせて、息ができない場合②「ハイムリック法」 背部叩打法で詰まりがとれないとき、次に試みてほしいのは「ハイムリック法(腹部突き上げ法)」だ。1974年にアメリカの医師、ヘンリー・ハイムリックにより提唱された手法で、腹部を圧迫して異物を除去する。腹部を圧迫するので、妊婦や乳児には行えない。