「まさか」か「やはり」か…なぜ慶大・清原正吾をドラフトで指名しなかった? 父が所属した3球団のトップを会場で直撃!「それはちょっと…」
ジャイアンツの見解
返答に困る質問に真正面から答えてくれたのは巨人・水野雄仁スカウト部長だった。和博氏は1996年オフにFA宣言して小さい頃から憧れていた巨人に移籍し、9年間プレーした。長男の正吾は巨人時代の2002年8月23日に誕生している。 「12球団100人以上のスカウトが長い時間をかけて色々な選手を見ている。その上でどこからも指名がなかったということ。それが事実ということじゃないでしょうか」 端的なその言葉は、トップレベルであり続けるプロ野球のプライドであり、指名を受けた選手へのリスペクトでもある。
判断材料が足りない
そもそも、正吾は野球界では異例の経歴を歩んできた。小学校3年時に野球を始めるも、中学はバレーボール部、高校時代はアメリカンフットボール部に所属。6年のブランクを経て慶大で硬式野球部に入部して本格的に鍛え始めた。リーグ戦デビューも2年秋と遅かったが、短期間で才能を発揮し4年春のリーグ戦では一塁手としてベストナインにも選ばれた。 あるセ・リーグの編成担当者は「うちは絞り込む前段階のリストにも(清原が)入っていなかった」とした上で、評価の難しさを明かす。 「そもそも、実戦を重ねていないし判断できるだけの材料がない。(DH制がない)セ・リーグは特に、実績がなくてかつ一塁手しかできないというのも厳しい。もちろんいい選手だとは思いますよ。ただ、お父さんの存在を抜きにして、素材としていいものを持っているという選手なら他にもたくさんいる、というのが本音だと思う。他球団との間でも、(清原について)話題になったことはなかったです」 清原がプレーした六大学も担当するアマチュアスカウトは、マスコミから注目度の高い選手を取り巻くこんな問題点を口にする。 「少し活躍すると、スカウトが記者にコメントを求められますよね。相手はアマチュア選手ですし、マイナスの言葉をいうスカウトなんていませんよ。お世辞とは言わないまでも、“素材がいい”とか“あの打席のこういうところが素晴らしい”とか、良いところを見つけて言うでしょう。本音ではドラフト候補として評価していなくても、そうとは言えない。そのコメントが『高評価』とか『熱視線』という報道になって一人歩きしてしまうところはあると思います」
周囲の期待だけが膨れ上がる不幸
清原に限らず、注目選手は周囲の期待が報道によって雪だるま式に膨れ上がる。いざドラフト本番となると指名がかからなかったり、順位が低かったりして梯子を外されるような格好になってしまうのだ。 巨人・水野スカウト部長は、指名漏れした正吾の心中も慮りながらこんな言葉を残している。 「指名がかからなかったのは彼だけじゃない。もっと注目されていた山田(健太)選手(大阪桐蔭―立大―日本生命)だって指名されなかった。社会人などでもっと力をつけて、また頑張ればいい」 野球を続けるにしろ、他の道に進むにしろ、この日の悔しさをどんな思い出に変えるかは、踏みだすその一歩にかかっている。
(「プロ野球PRESS」佐藤春佳 = 文)
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