「2025年注目テーマ」総まくり、永濱利廣さんが株式相場で勝ち抜くための要点を徹底解説
上値の重い展開が続く日本株相場。はたして2025年はどんな展開をたどるのか。『週刊東洋経済』12月14日号の特集「株の道場」では、12月18日発売の『会社四季報』新春号の内容を超先取り。新年相場で期待が持てそうな銘柄を数多く取り上げている。 永濱さんが指摘する2025年の注目ポイント ドナルド・トランプ次期大統領は11月、来年1月20日に予定される二度目の就任式を待たず、対米輸出関税の大幅引き上げをぶち上げた。日本では来夏に予定される参議院議員選挙を前に「年収の壁」撤廃に与党が重い腰を上げ、手取りアップが期待される。
一方、日本銀行は連続利上げに強い意欲を隠さず、潜在的な円高圧力が増している。不透明感の強い来年の景気・経済をどう読むか。第一生命経済研究所首席エコノミストで景気循環学会常務理事の永濱利廣氏に聞いた。 ■アメリカはインフレ加速 Q トランプ氏の再任でアメリカはインフレ加速? トランプ氏の政策の大半がインフレを加速させるだろう。国内産業保護を目的とした高関税政策は輸入物価上昇を招き、移民排除は労働力不足に拍車をかけ、賃金上昇圧力となる。公約に掲げ再選の原動力となった大型減税も、強力なインフレ要因だ。
トランプ氏の主張は1期目(2017~2021年)と大枠で同じだが、異なる点が2つある。前回はディスインフレ、つまりデフレではないがインフレ率は低水準だった。今回は40年ぶりのインフレが沈静化する途上で、物価上昇が再燃するリスクを抱えたままだ。 ただ、トランプ氏はシェールオイル・ガス増産も主張。需給の緩みからエネルギー価格が下がれば、インフレ圧力が抑制される可能性もある。 Q アメリカに連動して日本もインフレに?
日本固有の事情によるインフレは起こりにくい。人口減少や高齢化などから、内需が急速に増えて物価を押し上げるデマンドプル型インフレの要因が生じにくいためだ。しかし、海外発のコストプッシュ型インフレは起こりうる。輸入物価が上昇すれば、物やサービスの値段が上がる方向に動く。 最近の物価高を円安だけで説明する議論があるが、誤りだ。エネルギーにせよ食料にせよ、輸入品はドルなど現地通貨表示でも値上がりしており、円安でなくても輸入物価には上昇圧力が働いてきた。トランプ氏の対米輸出関税が発動されれば、コストプッシュ型のインフレ圧力がかかりそうだ。