ニホンウナギ、2016年から輸出入規制の恐れ? ー絶滅危惧種の効力とは?
各国政府や科学者らでつくる国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅の恐れがある野生生物の「レッドリスト」で、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定する見通しが強まっています。レッドリストには法的拘束力がないとされますが、これによって今後どんな影響が出てくるのでしょうか? そもそも、国際自然保護連合(IUCN)とは何か。この組織は、1948年に設立された国家、政府機関、非政府機関で構成される組織です。同連合のサイトによると、2012年11月現在、91の国々、127の政府機関、903の非政府機関、44の協力団体が会員となっており、181か国・1万人の科学者、専門家が協力関係を築く世界最大の自然保護機関。世界中に約1000人のスタッフがおり、本部はスイス・グランにあります。 自然の多様性の保護のために活動しており、IUCNのレッドデータブックには、鳥類の11%、哺乳類の23%、植物の20~30%を含む、約2万種類の動植物が絶滅の恐れのある種として登録されているといいます。2007年版のレッドリストによると、絶滅の危機に瀕する生物種数は、動物種が7850種、植物種が8456種に上ります。 では、レッドリストになると、どんな効力があるのでしょうか?指定そのものには、法的な強制力を伴う効力はありません。ただ、問題は、IUCNのレッドリストは、世界的に権威のある絶滅危惧種の評価資料とされている点です。 とりわけ、野生生物の国際取引を規制する国際ルールとして有名な「ワシントン条約」に影響を与えるのことが大きいと言えるでしょう。この条約の正式名称は「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。ここで、規制の対象を検討する際、IUCNのレッドリストは、基本的な資料として重要視されるそうです。 ワシントン条約の会合は、次回は2016年、南アフリカで開催される予定です。そこで今回、IUCNがニホンウナギをレッドリストに掲載すれば、ワシントン条約の対象として検討される可能性が出てくるわけです。 では、ワシントン条約ではどんな規制がかかるのか。同条約では、規制にも段階があり、厳しい順に1~3に分かれています。このうち、絶滅危惧種を対象にするのは1と2。1は「商業目的の国際取引は禁止」、2は「商業目的の取引はできるが、輸出国政府が発行する許可書が必要」となっています。