葬儀業界の人手不足が顕在化、希望日に葬儀できず、遺体取り違えて火葬も 倒産は過去最多
■葬儀社の倒産は過去最多
こうした環境下で葬儀社の淘汰も加速している。帝国データバンクが今月8日に発表した調査結果によると、1~11月に発生した葬儀社の倒産(負債1000万円以上)は計47件を記録。23年同時期(27件)の1・7倍で増加し、年間で最多だった07年(42件)を更新した。
新型コロナウイルス禍を機に少人数の家族葬など簡素な葬儀スタイル需要が拡大し、葬儀料金の低価格化により経営が悪化。最近の物価高による葬儀に使うドライアイスや花代の高騰に人手不足も重なり、廃業を決める葬儀社が急増した。
近年は流通大手のイオンが葬儀業に参入し、低価格を訴求するネット葬儀社の開業が相次ぐなど競争も激化。「規模の小さい葬儀社ほど経営は苦しく、今後も倒産や廃業は増える見通し」と帝国データの担当者。「単価下落で葬儀社の売り上げは落ち、人手確保も難しく、業界全体のバランスを保つのが難しくなっている」と分析している。(西村利也)