「手足口病」がこの夏、大流行の兆し! その症状や予防策について歯科医師が解説
手足口病の予防策は?
感染力が強い手足口病の原因ウイルスの感染を防ぐ方法をまとめました。 ・マスクをする 咳やくしゃみによる飛沫感染を防ぐため、家庭内(家族間)でもうつさない、うつらない双方の観点からマスクは着用するようにしましょう。 ・こまめに手を洗う 接触感染を防ぐために手洗いを十分にすること、便などの排泄物を適切に処理することが大切です。普段から手の触れやすいスイッチやドアノブ、手すり、おもちゃ、トイレ回りなどは特に要注意です。 手洗いは流水と石けんでしっかり手の平や甲、指の間などをこすり洗いし、手指に付着したウイルスを十分洗い流すことが重要です。保育施設などの乳幼児が集団生活する場ではおむつ交換時は排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いするようにしましょう。 ・消毒する 手足口病のウイルスはアルコール消毒剤が効きにくいため、おもちゃなどの消毒には希釈した塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)が効果的です。 ・タオルや食器の共有をしない タオルや食器(皿やフォーク、スプーン、お箸等)に付着したウイルスは接触することで伝播します。 手洗い後のタオルは決して共用しないようにし、ペーパータオルなどの使い捨てのものを使うようにしてください。
今年は手足口病が大流行の兆し
手足口病患者の定点医療機関あたりの報告数5人が警報発令の基準値とされますが、2024年第23週(6/3-6/9)は群馬県9.25人、鹿児島県8.69人、三重県8.67人などが高値として報告され、いずれも増加傾向を示しています(図2)。 すでに10以上の府県が警報レベルを超える一方、北海道や東北地方では1人未満であり、大きな地域差も認められます。 近年は2~3年おきに流行していますが、大阪府、京都府、石川県などは5年ぶりの警報となり、流行規模は拡大しつつあります。 しかし、手足口病は発病しても軽い症状で治ることが大半で決して危ない病気でなく、実際にほとんどの子どもが感染して免疫を獲得します。早期発見・早期対応が望ましいですが、普段のバランスのよい食事やストレスのない環境づくりも予防につながります。 毎日のマスクや手洗いなどを励行しながら、この夏を親子で元気にのりきりましょう。 【島谷浩幸】 歯科医師(歯学博士)・野菜ソムリエ。TV出演『所さんの目がテン!』(日本テレビ)等のほか、多くの健康本や雑誌記事・連載を執筆。二児の父でもある。ブログ「由流里舎農園」は日本野菜ソムリエ協会公認。X(旧Twitter)も更新中。 参考資料: ・厚生労働省,国立感染症研究所,三重県感染症情報センターほか:手足口病関連サイト,2024. ・鈴木愛ほか:手足口病患者から検出されたエンテロウイルスの遺伝子解析(2014年度~2016年度).東京健安研セ年報68,49-54,2017. ・国立感染症研究所:IASR病原微生物検出情報・手足口病由来ウイルス週別2023&2024年.
執筆/島谷浩幸