「手足口病」がこの夏、大流行の兆し! その症状や予防策について歯科医師が解説
原因ウイルスはどのように感染する?
人から人へ感染する伝播経路として、口や咽頭の唾液・鼻水に含まれるウイルスの飛沫感染が主ですが、水疱を触って指に付着したウイルスが他人に感染するケースや、糞口感染(便中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)も認められます。 特に、この疾患にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活する保育施設や幼稚園などは、子どもたち同士の距離が近くて濃厚接触が生じやすい環境であり、かつ衛生観念がまだ発達していないことから、このような施設は集団感染が発生しやすく注意が必要です。 口の中に発疹ができるウイルス感染症として単純ヘルペス感染症、帯状疱疹、ヘルパンギーナ、麻疹、風疹などがあり、ヘルパンギーナは手足口病と同様に、子どもの夏風邪としてもよく知られます。 しかし、別の原因による発疹や、ビタミンBの不足などによる口内炎との鑑別が難しいため、もし上記のような症状を見つけたら、速やかに小児科や内科、耳鼻咽喉科、歯科で診てもらいましょう。
手足口病の治療法は?
手足口病に有効なワクチンはなく、発病を予防できる薬や特効薬もありません。 また、原因がウイルスのため、通常の細菌感染による風邪(感冒)で使用する抗菌薬(抗生物質)も効果がありません。 通常は、出ている症状を抑える対症療法のみを行い、ホームケアをしながら回復するのを待つことになりますが、発熱や頭痛、口の中の水疱が破れた疼痛などに対して解熱・鎮痛薬を使用することがあります。 また、脱水の症状があれば水分を補う処置が必要ですが、基本は安静にしながら栄養分をしっかり摂って体を休めることが大切です。口の中の痛みが原因で飲食が困難な場合は、負担の少ないのど越しの良い食事をし、脱水や栄養不足にならないようにしましょう。 ところで、学校保健安全法は手足口病の登園・登校に関し、出席停止を定めていません。 その理由として、治った後も比較的長い期間にわたり便中にウイルスが排泄され、感染しても発病せずにウイルス排泄を続ける可能性があるため、症状のある急性期だけ登校・登園停止を行っても流行阻止の効果があまり期待ができないことが挙げられます。 子どもの症状を見ながら、必要に応じて休ませるようにしましょう。 なお、手足口病で園を休んだ後に登園許可証の提出が必要か否かは、自治体や園で方針が異なるので、事前に確認しておきましょう。