スタートから4ヵ月 物流・運送業界の2024年問題の現状と課題
元トラックドライバーで、物流ジャーナリストの坂田良平さんが8月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(毎週月~金曜・あさ6時~)に電話出演。物流業界の2024年問題について解説した。
トラックドライバーなどの時間外労働の新たな規制が、今年4月にスタートした。これは、ドライバーの長時間労働を防ぐことが目的だが、同時に輸送力の低下などの影響も懸念されている。これがいわゆる物流・運送業界の2024年問題である。
2024年問題の対策のために共同配送をおこなう企業
坂田)大手に関しては着々と対策を進めており、以前より効率化や低コスト化を実践した事例もあります。例えば、ファミリーマートとローソン。これは岩手県と秋田県で冷凍食品の共同配送をスタートしています。LIONやユニ・チャームといった日用品メーカー14社は、物流課題に共同で取り組む協議会を設置しました。昨日(8月12日)はイオンモールに入るテナント同士で共同配送を行うという報道があり、大手のメーカーや小売店が結託して物流の2024年問題の対策を行う取り組みは、無数に生まれています。 飯田)業態を超えて連携するところが増えているのですか? 坂田)珍しいものだと、ビール会社と即席麺の会社が共同物流を行いました。ビールのみだと重量オーバーのため、トラックの積載量に対してコンテナの半分が空いている場合に、即席麺のような軽いものを載せるという事例です。
対策が間に合わず、悲鳴を上げる中小零細企業
飯田)そういう意味では、まだまだ改善する余地があるということですか? 坂田)逆に言うと、いままでほぼ効率化を行ってこなかったという現状があるのです。大掛かりな物流改善に取り組む力が乏しい中小零細は、物流の2024年問題対策で出遅れています。特に代表的な例としては野菜や果物、魚介類などの一次産業です。一次産業では、地主側も中小零細が多いので、そのパートナーとなる運送会社も中小零細が多くなってしまうのです。そのため、せっかく生産した野菜が九州から東京、名古屋、大阪といった大都市まで輸送できないという悲鳴が上がりつつあるのです。