スタートから4ヵ月 物流・運送業界の2024年問題の現状と課題
長距離輸送が制限されたことで、大都市に一次産業物が運べなくなった
飯田)長距離というのがやはり難しくなってきますか。 坂田)はい。一次産業の生産物というのは、いままで長時間労働といったコンプライアンス違反を地主側も承知で運送業者に任せて、運送業者側も仕方がないこととして長距離輸送を行っていたという実態があるのですが、物流の2024年問題で規制がかかったわけですから、このまま違反をつづけていると、運送会社側は行政処分を受けてしまいます。そのため、長距離輸送ができず、大都市への輸送が困難になり、悲鳴を上げる運送会社が出てきているのです。 飯田)出荷する側も運ぶに運べない、運んでくれる人がいないという状況が生まれてしまうということですね。 同番組に出演したジャーナリストの須田慎一郎は、賃上げの観点からトラックドライバーの人手不足解消策について言及した。
賃上げと人手不足は別の問題 待遇改善のための賃上げを進める政府
須田)物流改革も必要ですが、将来的な人手不足を解消するためには、賃上げがどうしても必要なのではないでしょうか。単価がなかなか上がらないことで、中小の業者がなかなか賃金を上げることができないという悩みもたくさんあると見えるのですが、今後改善していく傾向はありますか? 坂田)まず、賃上げと人手不足の問題は分けて考えるべきだと私は思います。いま政府が進めている対策は、ドライバーを増やそうとはしていないのです。少子高齢化によって、就労可能人口が減っていく日本において、トラックドライバーだけ人を集めようとすると、ほかの業界で人手不足が加速してしまいます。ではなぜ賃上げをするのかというと、いままでが安すぎたからなのです。運送業界は、平均より労働時間が2割長くて賃金が2割安いと言われていたのですが、アメリカのトラックドライバーだと、平均の収入が一般的な産業よりも2割以上高くて、一部のドライバーは2~3000万円の年収を得ているケースもあるのです。なので、待遇改善的な意味合いの賃上げという要素が強いと思います。