なんで自分だけ…他人と比べて悩む人に伝えたい「心が楽になる」思考法
トゥレット症は、自らの意思に反して声が出たり、身体が自然に動いてしまう疾患だ。SNSの普及に伴い他人と自分を比較してしまう機会が増えているが、トゥレット症である酒井隆成氏も他者との比較に悩まされた一人だ。「どうして他の人には病気がないのか?」という問いに悩まされ続けた筆者の人生を好転させた3つのライフハックとは?※本稿は、酒井隆成『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● どんなときに自分が発症するかを 知っておくと生きやすくなる 「自分が病気を持っている」という病気に対する自覚や知識のことを「病識」と呼びます。 トゥレット症に限らず、どんな病気にも言えることですが、この「病識」を持っているかどうかは、生きやすさを追求するうえで重要な要素だなと思います。 たとえば、僕の知人は躁鬱の症状があるのですが、以前はその症状がどんな状況になると出るのかをよく理解していませんでした。 そこで、「こういう症状がどういうシチュエーションになると出やすくなるか」を理解するようになってから、気持ちをコントロールできるようになったそうです。 たとえば、以前は、「なぜそんなに気持ちが落ち込んでいるの?」と言われても、「わからない」としか答えられなかった。でも、その後、「なぜ気持ちが落ち込むのか」のメカニズムを分析していったら、「気圧の変化」「嫌いな人と話をした」「やりたくない作業があるのに先延ばししているのが気になっていた」「季節の変わり目だった」など、何かしらの要因があることがわかったそうです。
それを知り、「いま気持ちが落ち込んでいるのは、この前こういうことがあったからだ」と因果関係を分析するようになると、かなり自分の感覚をコントロールできるようになったといいます。 もちろん分析してもうまくいかないこともあるので、そこはあくまでトライ&エラーの繰り返しは必要です。 ちなみに、僕の場合、トライし過ぎた結果、症状が悪化したこともあります。 以前、チックの症状がひどく、夜が全く眠れずにしんどい想いをしたことがありました。「じゃあ、身体をめちゃくちゃ動かしたら眠れるんじゃないか?」と思い、寝る前に思いっきり身体を動かし、へとへとになった状態で布団に入ってみたものの、なぜか身体が動き続けてしまう。 身体を動かしすぎたがゆえに、余計に興奮してしまったのか理由はよくわかりませんが、その日は疲れているのに眠れないというつらい一夜を過ごすことになりました……。 でも、こうした失敗も積み重ねていったおかげで、「寝る前にはあまり動きすぎず、リラックスタイムがあるほうが、早く眠れる」などという自分の傾向が少しずつ見えてくるので、この失敗も決して無駄でなかったと思っています。