「死にたいときに誰かと繋がれたら、99%の人は死なない」不安だらけの世界を生き抜く坂口恭平のアイデア
人生最大の鬱を体験して
――坂口さんの本には、そういった「社会を生き抜くための実践可能なアイデア」がたくさん登場します。「毎晩8時に自分を褒める言葉をノートに書き出す習慣」は、私もやってみて、自分って結構がんばってる! とポジティブな気持ちになれました(笑)。 でしょ? 「今日は植物に水をやった」とか、小さいことでいいから自分がよくやったと思うことをノートに書き出すのを習慣にしていると、気付けることも多いし、書くこと自体が楽しくなる。自分で自分の薬を作ってる感覚ですよね。書き出すのが無理なときは頭の中で言語化するだけでも意識が変わるので、俺なんか最近は10分に1回ぐらい自分を褒めてます(笑)。 ――状況は変わっていなくても、捉え方が変わると世界が変わってきますよね。 家族の在り方とか、お金や仕事に対するスタンスとか、みんながこうだと思い込んでることを根本的に捉え直してみると、日常が本当に変わってくるんですよ。 あとがきに書いてるんですが、この本を作っている最後の方で人生最大の鬱を体験して。ずっと気付かないふりをしてきた自分の根本にある問題と向き合って、家族にさびしいと言えたことで、家族との関係も鬱に対する向き合い方も、また少し変わってきた。 今まで散々、いろんな人に無茶だとか食えないとか言われてきたけど、ちゃんと食えてるし、人生は楽しくて肯定すべきものだと俺は感じているから、なにも恐れることはないと、しっかり伝えていこうと思ってます。 坂口恭平(さかぐち・きょうへい) 1978年、熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、2004年に日本の路上生活者の住居を収めた写真集『0円ハウス』を刊行。『独立国家のつくりかた』『躁鬱大学』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『土になる』『生きのびるための事務』など著書多数。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行なっている。
井口啓子