2季目サンウルブズに参戦の田中&松島は最下位チームを変えられるか
スーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが12月12日、発足2シーズン目となる2017年度の所属メンバー36人を発表した。 今回のメンバー構成の特徴は、36人中19人が今秋の日本代表の欧州遠征組が占めることとなったこと(怪我で遠征を辞退した矢富勇毅を含む)。そもそも日本のスーパーラグビー参戦は、2019年のワールドカップ自国大会に向けた代表チーム強化策だった。しかし前チームは、ワールドカップイングランド大会直前期にチーム編成をおこなったため、細部に突貫工事の感をにじませていた。 今回は、初年度のシーズンが終わった2016年夏以降、サンウルブズを運営するジャパン・エスアールは、ジェイミー・ジョセフ日本代表新ヘッドコーチらと対話を重ねてきた。「ジャパンとの連携をさらに強固にしたい」(サンウルブズの上野裕一・業務執行理事)と、採用する戦術や選手選考において、細かなすり合わせ作業がなされたという。初代主将だった堀江翔太も、「代表の選手が(サンウルブズに)絡む可能性が高い。去年よりもいいスタートが切れるとは思う」と強調していた。 その隊列のなかで最も注目されるのが、田中史朗と松島幸太朗の参戦だろう。 田中は判断力と負けん気に定評のあるスクラムハーフで、松島は綿毛の走りを持ち味とするフルバック。昨秋のワールドカップイングランド大会時も、堀江らとともに日本代表として3勝を挙げている。 長らくナショナルチームの格を保ってきた。それゆえ、ナショナルチームとの連携を重んじるサンウルブズにはうってつけのタレントなのだ。 フィロ・ティアティアヘッドコーチも、こんな言い回しで2人を評した。 「田中選手はハイランダーズでスーパーラグビーの経験を多く積んでいます。松島選手はエキサイティングな選手。我々と一緒にプレーする姿を観るのが、楽しみでなりません」 談話そのものは簡潔だが、具体的な数値目標などを一切語らないティアティアの発言なだけに、2人への期待の高さが伺える。 2人が1勝1分け13敗の最下位で1年目を終えたサンウルブズにもたらしそうなプラスアルファは、経験値とほどよい緊張感という名の変革だろう。 ティアティアの言葉にもあったが、2人は前年度まで、海外のクラブでスーパーラグビーに挑戦している。まして田中に至っては、ジョセフがヘッドコーチをしていたハイランダーズに4シーズン在籍してきた。世界ランク1位であるニュージーランド代表のアーロン・スミスと、スクラムハーフの定位置を争った。その延長線上で、2015年度の優勝メンバーとなった。 一方、サンウルブズは、世界ランク10位前後を行き来する日本代表の母体。田中がサンウルブズに新たな経験知を注入するのは、自然なことかもしれない。