米軍、防空兵器の備蓄減少 「強力な潜在敵国」中国対応に影響も 米インド太平洋軍司令官
【ワシントン=坂本一之】米インド太平洋軍を指揮するパパロ司令官は19日、ロシアの侵略を受けるウクライナや中東で戦闘を続けるイスラエルへの軍事支援で、米軍の防空兵器の備蓄が減少していると指摘した。備蓄の減少で中国と対峙(たいじ)する米軍の即応態勢に負荷がかかることに危機感を示し、備蓄を補充すべきだとの考えを示した。首都ワシントンのシンクタンクの行事で語った。 パパロ氏は、紛争を巡る支援で地対空誘導弾パトリオットや空対空ミサイルなどの防空兵器を米国が供与していることに関し、「米軍の在庫を補充し、さらに追加する必要がある」と指摘した。 インド太平洋地域は「世界で最も能力のある潜在敵国」の中国を抱えると説明。米軍は兵器を各地域に迅速に移動できると述べた上で、備蓄の減少によってインド太平洋地域の米軍の「即応態勢」に影響が出ることへの懸念を示した。 バイデン政権は、ウクライナ軍事支援でパトリオットや高性能地対空ミサイルシステム「NASAMS」などの供与を継続。中東では今年10月、イラン勢力などから攻撃を受けるイスラエルに迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を配備している。 また、パパロ氏は、北朝鮮が進める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に関し、弾頭部を大気圏内に再突入させる技術について「まだ能力は確認されていない」と説明した。 北朝鮮が大気圏再突入の技術を確立させた場合、正確に目標を攻撃できる能力が高まるため、米国にとってICBMの脅威が一段と増すことになる。