「執念で開発したロータス最後の内燃エンジン・スポーツカー!」by 清水和夫 これがエミーラV6ファースト・エディションに試乗したモータージャーナリスト3人のホンネだ!
ズバリいうとロータスはハンドリングにスイート・スポットがある!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! トヨタV6とAMG 4気筒の2つのパワーユニットが選択できるロータス最後の内燃エンジン車、エミーラのV6ファースト・エディションに乗った大井貴之さん、桂伸一さん、清水和夫さんのホンネやいかに? 【写真17枚】これが最後の内燃エンジン・ロータスか!? エミーラV6ファーストエディションの詳細画像はこちら ◆「最後のエンジン車たる完成度」大井貴之 エヴォーラの進化モデルとして登場したエミーラだが、2+2だったエヴォーラに対してエミーラは2シーター。ホイールベースもエンジン搭載位置も変わらないが、後席スペースを作り出すために追いやられていたバルクヘッドは正しい位置へ。 エンジン・ルームには余裕が出来て、シート後方に荷物が置けるスペースも残っている。エヴァイヤを連想させる空力デザインも素敵。試乗車はトヨタ製V6スーパーチャージャーを搭載する6段AT。3.5リッターの過給機付きは全域でトルキー。6段MTが用意されているのも大きな魅力。 ハンドリング的には重心が低いメルセデス製の超ハイパワー2リッターターボと8段DCTを搭載したバージョン上陸への期待は大きいが、サーキット・レベルで攻め込まなければどちらを選んだとしても不満を感じることはないだろう。 ラグジュアリー過ぎたエヴォーラとスパルタン過ぎたエキシージの間を取ったようなちょうど良いバランスは、ロータス最後のエンジン搭載車たる完成度。V6の2ペダルを日常の足として使うなんてカッコイイです。 ◆「一目惚れした」桂伸一 近年のロータスで最高にクールだと思うエミーラでひとっ走りして戻り、ロータスの関係者に「やっぱATで十分ね!」……と伝えると、「桂さんがそんな事言わないでくださいよ!?」と嘆かれた。ロータスだからおそらく最後(!?)の6段MTを推奨せよと。もちろんクラッチ操作で駆動がダイレクトに伝わるMTもお薦めだ。 エンジン車として最後のモデルと言われているエミーラはそのサイズとスタイリッシュさに一目惚れした。まだ上陸しないAMG製2リッター直4ユニットこそ個人的には注目だが、トヨタ・ベースの3.5リッターV6も熟成に熟成を重ねて歯切れのいいV6サウンドと高レスポンス、高トルクでミドシップらしい加減速の俊敏さと、軽快で鋭い旋回性を示す。 清水和夫師匠操るアルピーヌA110チュリニとコーナリング・バトルしながらターンパイクを登るが、もちろん速度規制内なので決着はつかないものの、チュリニに同乗した会員さまは、テールtoノーズ状態で、その鋭い横Gのハンドリングに身を委ねながら、先行するエミーラのフットワークに長けた潜在能力の高さも同時に確認できたハズだ。 ◆「ハンドリングが最高!」清水和夫 スポーツカー・メーカーの名門ロータスもそろそろ電動化の準備に忙しい。だが、ICE最後のスポーツカーとなるエミーラを開発したことは執念である。エンジンはトヨタ製の汎用的なV6に機械式過給機を独自に装備し、ミドシップ・スポーツカーとして成立させている。 パワーは405psと控えめだが、過給器によるトルクは十分。その気になればパワー・ドリフトは自在にできた(駐車場の特設コース)。 ズバリいうとロータスはエンジンを楽しむというよりも、ハンドリングにスイート・スポットがある。 コリン・チャプマンはハンドリングのレジェンド・エンジニアなので「意のままに走る」の元祖的な存在だ。とはいえ、エミーラはいままでのロータスの中でも大きめのボディを持ち、軸距は2575mmと長く、後部に荷室もある。シートもロング・ドライブを考慮したソフトタッチなので、疲れをしらない。 そう、エミーラは汗をかくリアル・スポーツではなく、大人がグランド・ツーリングできるスポーツカー。BEV時代を見据えて、独自の世界を切り開くその孤高さは昔売れたレコードのシングル盤のようだった。 写真=小林俊樹(メインとサブ)/郡 大二郎(リア) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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