いまや希少!「囲炉裏で郷土料理を楽しむ宿」川魚、ジビエ…趣ある温泉宿3選
炭火で焼き上げる川魚や香ばしい田楽、それにいつでも熱々の鍋物。囲炉裏を囲むと会話も弾み、料理がいっそうおいしく感じられます。 かつては暮らしの日常にあった囲炉裏も、いまは稀少な存在。その囲炉裏で、ほっこりと郷土料理が楽しめる宿を全国から探しました。
湯元 長座(ゆもとちょうざ)[岐阜・奥飛驒福地温泉]
囲炉裏で料理するのは… 川魚、五平餅、揚げ漬け、飛驒牛など 北アルプスの麓の温泉郷に建つ、山里の情緒溢れる「湯元 長座」。飛驒や新潟から移築した15棟の古民家から成る宿です。玄関に入ると、燻されて黒光りする太い梁の通った豪農の家の大きな囲炉裏が出迎えてくれます。 料理は囲炉裏を備えた個室レストランで。火の安定のため、ガス台の上に炭火を置いた火元で、長良川の魚をはじめ、飛驒名物の自家製五平餅や、揚げ漬けという醬油出汁で味つけした油揚げを炙っていただきます。串もののあとは、火の上に鉄板をのせて飛驒牛のすき焼きかステーキを。 「ひと風呂浴びて炉端で酒盛り」という宿のキャッチフレーズ通りに、火を囲んで仲間と地酒を飲み交わすくつろぎの時間が過ごせます。客室も18室が囲炉裏付き。 〈写真〉自家製梅酒から始まる献立。
玄関ロビーにある囲炉裏。日本かもしかや熊の毛皮を座布団代わりにしているのは、昔からの暮らしの知恵で、火が爆(は)ぜても燃えないから。
〈写真〉自家源泉と共同源泉を引き入れた木造りの大浴場。 【湯元 長座】 岐阜県高山市奥飛驒温泉郷福地温泉786 一泊2食付き2名1室の1名料金27,500円~(サ込・入湯税別) IN15時 OUT10時 全26室
いろりの宿 芦名(あしな)[福島・会津東山温泉]
囲炉裏で料理するのは… 川魚、厚揚げ田楽、奥会津牛、鯖など 「囲炉裏の炭火は会津の食材を引き立てる、最小にして最大の調味料」と女将の和田美千代さん。古民具が好きなご主人が山里の民家を移築・設計した宿にはどっしりと存在感のある囲炉裏が備わっています。 7つの客室があるので、食事処の囲炉裏も7基。そこで川魚や郷土料理の厚揚げ田楽を、じっくり焼いて味わいます。囲炉裏で調理する肉は、奥会津牛のステーキか焼きしゃぶ、あるいは地鶏の水晶板焼き。冬は鴨や地鶏の鍋も登場します。 「元来の方法で育てられた安心安全な食材を探し求めて仕入れています。その味を生かすには、囲炉裏が最適。旨みが引き出されます」 朝食の鯖の炭火焼きも絶品です。 〈写真〉食事の1時間前から焼き始めるという岩魚は骨まで柔らかくなる。特注の肉料理は、きめ細かな霜降りの稀少な奥会津牛を焼きしゃぶで。