潜在能力持つ30歳・辻梨恵、崖っぷちからの下剋上に期待 女子ゴルフ界は若手台頭、大王製紙エリエールレディス「優勝狙います」
【SPORTS BAR】 女子ツアー17勝(米メンバーでの1勝を含む)で人気ゴルファーの上田桃子、38歳が今季限りでツアー撤退を決めた。若手の台頭が著しく、今季30歳を超える優勝者は「マスターズGC」(兵庫)のイ・ミニョン、32歳ただ一人。年間ポイントランキングのトップ10にも30歳代は不在。12位に藤田さいき(38)がやっと顔を見せた。 そんな中、輝きを戻しつつあるのが辻理恵、30歳だ。QT(出場優先順位)148位で今季の出場数が限られた。前週「伊藤園レディス」(千葉)はマンデートーナメント(主催者推薦選考会)を勝ち抜いて出場。「後がないので優勝を狙う」と最終日、前半ボギーが先行したが、後半の14、16番でバーディーを奪うなど粘り強さを見せ、優勝した山内日菜子(28)に2打差の12アンダーで2位タイ。宣言通りの優勝争いを演じ、年間ランクも95位から75位へとアップした。 近年調子はいまひとつだが2016年は46位、17年は31位とシードを保持し何度も優勝争い。今回の復調に手応えを感じている。「ずっとパットが不調だった。ストロークで気持ちが入り過ぎていた。いまはタッチとラインだけを考えて、気持ちに流されず集中できている」という。 自分と向き合う時間があった。昨年、幕末の思想家・吉田松陰の書を手にし、『その心を尽くす』という言葉に感銘を受けた。〝自分の心一杯、その限界までを行い尽くす〟という教え。実家は神奈川にある寺。座禅も組んだ。「ショットが良かったのは若い頃。いま下部ツアーで優勝争いして気がついた。マネジメントや気持ちの持ち方をなどいろいろ考えてやってます」と笑った。 3位以内に入って自ら出場権を勝ち取った、今週の「大王製紙エリエールレディス」(愛媛)も「もちろん優勝を狙います」。埼玉栄高時代は全国高校ゴルフ選手権団体優勝に貢献。優勝メンバーで同級生の渡辺彩香も今季、一時の不調から脱し年間ランク44位でシード(50位以内)を確定させた。「だから私も…」。前週優勝の山内はランク73位からの下克上。吉田松陰思想の辻に何かが起こるかも?! (産経新聞特別記者)