クルマ好き女子大生がラリードライバーになるまで。由奈選手の2023年シーズンを振り返ります【ゴスラリ参戦記】
クルマ好き女子大生がラリー選手へ
そんな素敵な会社で働きながら、インテグラ タイプRを売って鬼のローンで買ったアバルト「124スパイダー」でジムカーナ練習会に行く限界社会人生活を送っていたのですが、ひょんなことからTGRラリーチャレンジに出場するドライバーを募集しているという会社に出会い、オーディションを受けて合格したことからラリーへの参戦が始まるのです。 それからは、豊田市に構える株式会社ジェイピーシーで働きながら、ジェイピーシーのラリーサークルからTGRラリーチャレンジや中部近畿ラリー選手権(いわゆる地区戦)に参戦。2019年には地区戦でクラス優勝、シリーズランキング2位という成績を獲得することができました。 ラリーが楽しくて楽しくて、もっとステップアップできたらいいなあ……と思っているところに大きなチャンスが巡ってきました。ラリーの老舗、名門CUSCO RACINGが、女性ドライバーのオーディションを開催するとのことで、ダメ元で受けたらなんと合格。全日本ラリーJN6クラスへ出場させていただき、初出場でクラス2位を獲得することができました。 クルマ好き女子大生だった当時の私が聞いたら信じられないようなラッキーが続き、こうしてラリーの世界へ一歩ずつステップを踏み出したのです。2022年にはCUSCOから車両をお借りして、プライベーターとして全日本ラリーJN6クラスに参戦し、最終戦でクラス優勝。地元・岐阜のラリーで勝てたことがすごく嬉しかったです。そして2023年からは自分自身で車両を用意して全日本ラリーに出場するようになりました。
女性ペアで戦う
ラリーといえば、助手席で道案内などをするコ・ドライバーが必ず必要になります。私のコ・ドライバーとして1年間ペアを組んでくれたのは、もともとアイドルやレースクイーンなどもしていた槻島ももちゃんでした。ももちゃんと組むきっかけは以前、AMWで紹介していただきました。 モータースポーツは男性が多い業界ではありますが、私たちは女性ペアで戦っています。女性同士だと大変なんじゃないの? とかたまに聞かれることもありますが、ラリー中はツインルームで一緒に過ごすくらい仲良し。困ったらお互いになんでも相談して、プライベートでも助け合っています。(私が助けられてばかりな気がしなくもないですが)。 それに、陰キャラな私と、陽キャラなももちゃんのお互いのいいところ悪いところが補い合っていいバランスなのです。 2022年の夏頃から参戦準備を始め、メカニックの確保、車両製作、スポンサーとのやり取りなど、初めてのことだらけでしたが、たくさんの方のお力をお借りしながらなんとか初戦新城ラリー(2023年3月3日~5日)へエントリーが完了。残念なことに必要な部材の到着が遅れ自分の車両が完成せず、車両をお借りしての初戦となりました。緊張しすぎてSS1のスタート直前まで 「どどどどうしよう!!!!」 と大騒ぎでしたが、走りだしてしまえば緊張も少しずつ落ち着いてきて、無事完走。スイスポのスピード感に慣れていなくてノートの読み遅れもありましたが、すぐにアジャストしてくれてノートリーディングもいい感じ。しかし残念ながら日曜日の雨に翻弄され、結果は初戦クラス5位でのフィニッシュとなりました。 その後、ようやく自分の車両が完成。第3戦ツール・ド・九州in唐津(2023年4月14日~16日)でついにお披露目となりました。車両のカラーリングは痛車の施工をしているK-conceptDesignへデザイン・施工をお願いし、好きなゴスロリテイストにしてもらいました。赤チェックとフリル、そしてかっこよさもあるデザインがお気に入りです。 ホイールはOZ。でも実はまだ国内ラリーではあまり履いている人を見かけないんですよね。第3戦からヘルメットもCINQ PAINTでカラーリングしてもらい、車両カラーリングに合った黒×赤チェックなデザインに。ヘルメットもクルマもかわいいんです。 そんな色々と新しいもの尽くしの唐津ラウンドもまた雨が降り、土曜日の順位はかなり沈んでしまいました。日曜日は朝まで雨が降り、タイヤ選択が難しいなかレインタイヤを選び、クラス3番手タイムや2番手タイムも出て手ごたえの感じられる1戦となりました。