今の取り組み継続を 専門家会議が会見(全文5完)長丁場の戦いに向け有効な経験
質的評価も入るので病床では難しい
今村:病床に関しては、何床を残せばいいっていう問題ではなくて、常に、先ほどあった北海道の例にもあるように、最初の流行よりも次の流行のほうが人数が多くなることもあり得るわけですね。問題は、急に自分たちの予想よりも増えたときになったとしても迅速に、なおかつ柔軟にその病床を広げられ、かつ病床数ではなくて、それが運用できるスタッフ、防護具その他いろんな備品、その他全てを含めて有効に使える、有効病床数として急な増加にも対応できるということになってきますので、質的評価も入りますのでなかなか病床では難しいかなと思います。 読売新聞:ありがとうございます。明るい兆しがあるというふうにいただいているところですけれど、病院に関してもまだまだしんどい状態は続くんだと思うんですけど、それでも明るいところっていうのは先生、見えるんでしょうか。 今村:今、例えば少し負荷が下がってきたことによって、より、例えば救急的な重症・重篤者に関しては、よりベストな治療を、医療者に余裕があればあるほどしっかりした治療をやりやすくなるわけです。それが例えば逼迫すればその質は下がることは当然あり得るわけで、幸い日本の部分、日本ではそこまでいかずにおそらく耐えて、今、東京都が戻してきているところになります。だからそこの部分は余裕が出てきたことによって、僕たちは今、残っている、まだ命に関わる戦いをしている患者さんたちがまだいらっしゃいますので、1人でも多く救うようにやりたいと思ってます。それの部分が余裕が見えてきて、しっかりより対応できるっていうことが一番、本当は明るい部分じゃないかなと思います。 読売新聞:分かりました。ありがとうございます。
日本人はこの経験でいろいろと学んだ
尾身:それでもう1つ。今、明るい兆しということで、さっきの抗原検査、迅速キットとか、今の医療のこともあるので、私は今日はここのあれにはそれほど明示的には書いていませんけど、そもそも思い出していただければと思うんですけど、緊急事態宣言は4月7日でしたね、最初の。7日ですよね。7県。あのときはなぜああいうことになったかというと、このまま感染の、このまま何もしないといわゆるヨーロッパ型のオーバーシュートの軌道に入ってしまって、もう医療の体制が逼迫してしまうということでこれだけの、おそらく戦後初めてのこれだけの、皆さんが、みんながそれぞれ協力し合ってということになったわけですよね。 それで日本の場合には、これはいろんなところでいわれてますけど、法律的な強い強制力がない、法的の特措法という世界の中で、これはヨーロッパ、いわゆるロックダウンなんていうようなことをしない中で、行動変容も80%まではいかなかったかもしれないけど、一応、こういうオーバーシュートになったのを一応ここまで下げたというのは、日本人がこの経験をいろんな、私は学んだと思います。どういうことをすればこうなるんだということを各自が、それで日本の社会が学んだと思う。このことはこれからの長い丁場の戦いで非常に有効な経験というか学んだことなんで、それも明るい兆しというよりは、これは明らかに、これだけ日本はそんなにロックダウンをしなくて、強制的にまちを封鎖しなくても、皆さんの協力でこういう、この上がるふうになっていたものを、急峻にここまではこれなかったけど、ここをある程度は下方に、収束の方向に向けたというのは日本人みんなの協力。このことは私は兆しというか、良かったことだと思います。ただ、さらにもう少し努力が必要ということは言うまでもないと思います。