KADOKAWAの大規模システム障害は他人事じゃない…サイバー攻撃による機能不全は不可避なのか
8日未明、身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」による大規模サイバー攻撃で、動画配信サイト「ニコニコ動画」など、複数のサービスが利用できなくなるシステム障害に見舞われた出版大手のKADOKAWA。 コンビニで缶チューハイをちびり…勤務中飲酒を繰り返した単身赴任出向サラリーマンの悲哀 19日現在、同社によると、ニコ動のほかに書籍の受注や物流、編集システム、オンラインショッピング、経理システムなどの機能が停止しているという。 「新刊や増刷分の出荷が滞っているほか、オンラインショッピングの受注や決済ができなかったり、経理システムもダウンしていて支払いが遅延している状況で、できる部分は人力で対処しているところです」(同社関係者) 被害拡大防止やデータ保全のため、データセンター内のサーバーをシャットダウンし、現在のところ復旧に1カ月以上を要すると発表している。 「会社からいろんな連絡や報告が次々にくるものの、自分の仕事にどうかかわってくるのかがイマイチ把握できていません。長引くと書籍や商品の販売スケジュール、業績に大きな影響が出てくると思われます」(前出の関係者) ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、こうしたサイバー攻撃による機能不全は決して他人事ではないと話す。 「これまでもさまざまな企業や組織でシステム障害が起こっています。昨年7月にランサムウエア攻撃を受けた名古屋港の場合、3日程度で早期復旧していますが、長期化する見通しのKADOKAWAの一件で、サイバー攻撃によるリスクがより身近であることが伝わっています」 規模の大小を問わず、情報システム部門が手薄な企業が密かに問題になっている。 「ランサムウエアによる被害はメールを介したものが多かったのですが、感染経路は複雑化しています。ハッカーの技術はより高度化し、堅牢なセキュリティーを構築していても簡単に防げるものではありません。システム部門は業績悪化でコストカットの対象になりやすく、こうした企業や組織はサイバー攻撃で致命傷を受ける可能性が高い。病院などがシステム障害になった場合も、手術や検査が受けられなくなるなどの影響を及ぼしかねません」(井上氏) 業務のデジタル化で利便性が高まる一方、セキュリティーへの認識や被害による影響は軽視されがちだと井上氏は話す。